解説|激変する世界EV市場、3極それぞれの選択
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NEKO ADVISORIES 岩倉です。今週は、現在の電気自動車(EV)市場の転換期について考えてみましょう。
今年7月、トランプ大統領が署名した「大きく美しい1つの法案」により、米国はEV政策の舵を大きく切りました。2022年のインフレ削減法で導入されたEV税額控除の適用期限が2032年から2025年9月末へと大幅に前倒しされ、充電インフラ設置の税額控除も6月末で終了するなど、明らかにEV推進政策からの後退が見て取れます。
一方、市場では記録的な販売実績が生まれています。調査会社が発表した9月の世界EV販売台数は、前年同月比26%増の210万台となり、過去最高を記録しました。米国では税額控除終了を前にした駆け込み需要が発生し、66%増という大幅な伸びを示しています。中国は世界販売の3分の2を占める約130万台という旺盛な需要が継続し、欧州においてもドイツの優遇措置と英国での堅調な需要に支えられ36%増となるなど、各地域でそれぞれ異なる要因による成長が見られます。
米国の政策転換が駆け込み需要を生み、欧州の関税が中国の現地生産を促進し、中国の過当競争が世界展開を加速させるという連鎖反応は、EV市場が各国の政策・企業戦略・市場競争が相互に影響し合う高度に複雑な生態系であることを鮮明に映し出しています。本日のニュースレターでは政策転換の詳細とその影響、地域別に異なる市場動向の背景を解説していきます。
<本日のトピック>
・米国:7,500ドル控除終了で激変する米国EV市場
・欧州:依存と競争の狭間で揺れるEV戦略
・中国:利益率0.8%が迫る海外展開戦略かいせつ
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- 米国:7,500ドル控除終了で激変する米国EV市場
- 欧州:依存と競争の狭間で揺れるEV戦略
- 中国:利益率0.8%が迫る海外展開戦略
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