解説|激変する世界EV市場、3極それぞれの選択

トランプ政権下でEV政策が転換する中、世界EV販売台数は9月に過去最高を記録。米国では駆け込み需要、欧州では中国依存と政策見直し論、中国では過当競争による海外シフトと、米欧中それぞれが異なる課題に直面しています。
猫組長 2025.10.17
読者限定

NEKO TIMESは、短期目線に振り回される投資家を救済することを目的に、マクロかつ中長期の視点からビジネス・経済や為替・株式市場の話題を取り上げます。投資家に限らずビジネスパーソンの方も数多くご登録いただき、およそ22,500人の読者が購読するニュースレターメディアとして、成長を続けています。

サポートメンバー(有料会員)向け配信では、個別銘柄の値動きの解説も行い「売買の意思決定に直接関わる情報」を読者限定で配信しています。日曜日に配信する【猫組長|今週の相場見通し】では為替動向にも触れます。水曜日に配信する中沢氏が分析する日米株式情報も見逃せません。一部配信を有料読者に限定し、個別銘柄を解説しています。そして、有料版読者の皆様には特典として猫組長と直接交流できるオンラインライブイベントへご招待しています。

***

NEKO ADVISORIES 岩倉です。今週は、現在の電気自動車(EV)市場の転換期について考えてみましょう。

今年7月、トランプ大統領が署名した「大きく美しい1つの法案」により、米国はEV政策の舵を大きく切りました。2022年のインフレ削減法で導入されたEV税額控除の適用期限が2032年から2025年9月末へと大幅に前倒しされ、充電インフラ設置の税額控除も6月末で終了するなど、明らかにEV推進政策からの後退が見て取れます。

一方、市場では記録的な販売実績が生まれています。調査会社が発表した9月の世界EV販売台数は、前年同月比26%増の210万台となり、過去最高を記録しました。米国では税額控除終了を前にした駆け込み需要が発生し、66%増という大幅な伸びを示しています。中国は世界販売の3分の2を占める約130万台という旺盛な需要が継続し、欧州においてもドイツの優遇措置と英国での堅調な需要に支えられ36%増となるなど、各地域でそれぞれ異なる要因による成長が見られます。

米国の政策転換が駆け込み需要を生み、欧州の関税が中国の現地生産を促進し、中国の過当競争が世界展開を加速させるという連鎖反応は、EV市場が各国の政策・企業戦略・市場競争が相互に影響し合う高度に複雑な生態系であることを鮮明に映し出しています。本日のニュースレターでは政策転換の詳細とその影響、地域別に異なる市場動向の背景を解説していきます。

<本日のトピック>

・米国:7,500ドル控除終了で激変する米国EV市場

・欧州:依存と競争の狭間で揺れるEV戦略

・中国:利益率0.8%が迫る海外展開戦略かいせつ

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4756文字あります。
  • 米国:7,500ドル控除終了で激変する米国EV市場
  • 欧州:依存と競争の狭間で揺れるEV戦略
  • 中国:利益率0.8%が迫る海外展開戦略

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
高市銘柄と米国のネクストGAFAMについて考察します
サポートメンバー限定
相場見通し|公明党離脱と米中貿易摩擦が株価を大きく下落させるきっかけに...
読者限定
解説|AIが変える「買い方」- Open AIがDev Dayで発表
読者限定
高市ラリー|この3日間で見えた中心銘柄とは
サポートメンバー限定
相場見通し|大幅高スタートの日本市場の行方は如何に
読者限定
自民党総裁選の行方
サポートメンバー限定
自民党総裁選|有力候補関連銘柄を取り上げます
サポートメンバー限定
9月28日ZOOMミーティングアーカイブス