解説|FRBも日銀も利上げには動かずー引き続き中立金利に注目せよ

FRB・日銀ともに利上げには動くことはありませんでした。市場関係者は日米ともに利上げを織り込む中で、今後の議論において「中立金利」という概念を理解しておく必要がありそうです。
NEKO TIMES 2023.09.22
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こんにちは、NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日の猫組長TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。

今週、三井住友銀行は個人の米ドル定期預金の金利を現在の0.01%から5.3%に引き上げることを発表しました。米国で進む金利上昇を反映すると言い、高金利で先行するネット専業銀行にメガバンとしてはじめて追随します。金利について、身近に感じるようになった方も増えたのではないでしょうか。

定期預金の金利、住宅ローン金利など個人に関連する金利も、短期金利(住宅ローン:変動金利)と長期金利(同:固定金利)によって決定しています。そしてこれらは、各国中央銀行の金融政策に影響を受けています。

本日、日本銀行は9月の金融政策決定会合を経て、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を継続することを決めました。マイナス金利の維持(短期金利)、国債の買い入れ(長期金利)という現在の金融政策を維持します。

また、前日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を上限5.50%で据え置くと発表しました。パウエル議長は「注意深く進める」との発言を繰り返し、インフレとの闘いが長期化することを示唆しています。

最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大してきていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月に鈍化してきたが力強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある。

さて、パウエル議長は断続的に利上げを進めている中においても底堅く推移する米国経済を背景に"中立金利"について言及をしました。本日のニュースレターではこの"中立金利"という概念は何か、これらがどのように決まるのかについて説明し、また中央銀行の政策決定にどう影響するのか考えていきます。

<本日のトピック>
・米ソフトランディングなるか
・中立金利とは何か
・日本における中立金利と利上げ

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続きは、3403文字あります。
  • 米ソフトランディングなるか
  • 中立金利とは何か?
  • 日本における中立金利と利上げ

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