解説|企業は儲かれど、個人には行き渡らずートヨタ営利5兆円超え

トヨタは日本企業で初めて営業利益5兆円を突破しました。円安を背景に輸出企業が好業績を記録する中、海外からの仕入・調達が必要な企業の肩にコストがのしかかります。また、中小企業はコスト増を価格に転化することができず、これは個人の賃金上昇にも結果的につながりません。
NEKO TIMES 2024.05.10
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こんにちは、NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日のNEKO TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。

日銀が公表する統計によると、4月末から5月頭にかけて複数回にわたっておよそ9兆円規模の為替介入を行なったと見られています。1回目は4/29に1ドル160円台に急落後、154円台まで急反発したタイミング、2回目は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、円が157円台に下落し154円台に急反発したタイミングです。

現在は1ドル155円台で推移しています。引き続き円安が進んでいることから、神田財務官は為替介入について「いつでも」実施する用意があると記者団に語りました。また、植田総裁は「円安の動きを注視する」と述べた上で、物価への影響をふまえて「政策上の対応」の必要性に言及しました。

内閣府が本日10日に発表した景気ウォッチャー調査(4月)の結果によると、景気判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」へ下方修正しました。前月は「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」でした。

また、9日に厚生労働省が発表したの毎月勤労統計調査(3月・速報)によると、給与総額(名目賃金)は伸びているものの、物価高に追いつかない状態が続いていることがわかります。1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質賃金で前年同月比2.5%減、24カ月連続の減少で過去最長です。

個人・家計は実質でジリ貧の状態です。しかしながら、円安を背景に輸出企業を中心に「好調」な決算を発表しています。本日のニュースレターでは経済・為替の状況が刻一刻と変わるなか、置かれている状況が異なる家計と民間企業を対比しながら筆を進めていきます。

<本日のトピック>
・輸出企業は好業績、トヨタは営利5兆円超え
・中小企業は仕入れコストを価格転嫁できず
・日本実質賃金は24ヶ月マイナス、家計は苦しい

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続きは、3973文字あります。
  • 輸出企業は好業績、トヨタは営利5兆円超え
  • 中小企業は仕入れコストを価格転嫁できず
  • 日本実質賃金は24ヶ月マイナス、家計は苦しい

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