解説|韓国・非常戒厳令の衝撃 ― 揺らぐ民主主義と同盟関係の行方

1987年の民主化以降、初めて発動された非常戒厳令は、わずか6時間で収束したものの、韓国政治に深い亀裂をもたらした。与党からも批判を受け弾劾の危機に直面する尹錫悦大統領の判断は、外交・安全保障政策の根幹を揺るがしかねない事態に発展している。
NEKO TIMES 2024.12.07
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韓国の民主主義が揺らぐ重大な事態が発生しました。12月3日夜、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は国会による行政機能の麻痺を理由に「非常戒厳」を宣布しました。(ロイター)韓国憲法第77条では、大統領は戦時などの国家非常事態において戒厳令を宣布できると定められています。戒厳令には「非常戒厳」と「警備戒厳」の2種類があり、今回尹大統領が選択した非常戒厳は、軍による統制がより広範囲に及ぶものでした。(読売

戒厳宣布を受けて韓国軍は即座に動き、戒厳司令部が「全ての言論と出版は戒厵司令部の統制を受ける」との布告を発表。さらに国会活動の禁止も宣言されました。これに対し、与党「国民の力」の韓東勲代表は「大統領の非常戒厳の措置は間違っている。国民とともに阻止する」と表明。議会で過半数を持つ最大野党「共に民主党」の李在明代表も、戒厳令は違憲だと強く反発しました。

憲法の規定により、国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳令の解除を要求した場合、大統領は解除しなければなりません。実際に国会は4日未明、非常戒厳の解除要求決議案を可決。これを受けて尹大統領は非常戒厳を解除する判断を下しました。1987年の民主化宣言以来、実に37年ぶりとなる非常戒厳の発動は、わずか数時間で幕を閉じることとなりました。

しかし、与野党双方からの強い反発に見られるように、今回の非常戒厳の発動は韓国社会に大きな衝撃を与えています。言論や集会の自由を制限し、軍による統制を可能とする非常戒厳が、民主化後の韓国において初めて発動されたという事実は、重く受け止めなければなりません。

本ニュースレターでは、非常戒厳令の発動がもたらした政治的混乱と、揺らぐ日米韓関係の行方について解説していきます。

<本日のトピック>
・「ねじれ国会」から「完全なる対立」へ ― 深刻化する韓国政治の機能不全
・迫る弾劾の危機 ― 歴代大統領の「悲劇」は繰り返されるのか
・揺らぐ日米韓の同盟関係 ― 内政混乱が招く外交政策の転換リスク

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  • 「ねじれ国会」から「完全なる対立」へ ― 深刻化する韓国政治の機能不全
  • 迫る弾劾の危機 ― 歴代大統領の「悲劇」は繰り返されるのか
  • 揺らぐ日米韓の同盟関係 ― 内政混乱が招く外交政策の転換リスク

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