解説|コメ価格高騰の警鐘 ―揺らぐ日本の食料安全保障
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日本の食卓を支えるコメの価格高騰が続いています。農林水産省の発表によれば、今月7日から13日までの小売価格は5キロあたり4,217円と、前週比3円の値上がりを記録し、値上げは15週連続となりました。昨年同期と比較すると2倍以上の高値水準であり、多くの消費者にとって負担となっています。(NHK)

この状況を受け、政府は備蓄米の放出による市場安定化に取り組んでいます。3月から計21万トンの備蓄米を放出し、今月23日からは追加で10万トンの入札を実施。夏の端境期(7月)まで毎月放出を継続する方針です。江藤拓農林水産相は閣議後の会見で「備蓄米を出しても店頭価格が下がらない。責任を重く感じている」と謝罪するなど、状況の深刻さを認識しています。(朝日)
一方で明るい兆しも見えています。卸売業者間の「スポット」取引では一部銘柄で値下がりが観測され、前週比の上昇幅も縮小傾向にあります。また、政府は22年産から24年産までの備蓄米を活用する方針で、江藤農水相自ら試食し「どれもうまい。私は(違いが)分からない」と品質をアピールするなど、消費者の不安払拭にも努めています。(時事)
本日のニュースレターでは、コメ価格高騰の背景にある日本の農業政策や自給率の課題、JAなど流通システムの現状、そして国際的な食料需給の動向について解説します。備蓄米の放出やその流通の偏りという課題から、より広い「食の安全保障」という視点まで、日本人の主食であるコメを取り巻く現状と未来について考察していきます。
<本日のトピック>
・高止まりする米価格、進まぬ備蓄米供給
・米価安定政策の皮肉
・自給率の幻想とこれからの食の安全