今週の相場見通し 日経平均は25日移動平均線が意識される展開

英国のエリザベス女王が現地時間8日夕に崩御されました。衝撃的なニュースに関わらずロンドン株式市場もGBPレートも安定しています。米長期金利一服と日銀黒田総裁の発言で落ち着いたかに見えるドル円相場ですが。
猫組長 2022.09.11
誰でも

みなさんこんばんは、猫組長です。

英国のエリザベス女王が96歳でお亡くなりになりました。70年という長期に渡り、英国民のみならず世界中から愛された女王陛下に、心から哀悼の意を捧げます。

英国では、史上3人目となる女性首相が誕生したばかりです。新首相となるリズ・トラス氏は対EU強硬派で有名な女性ですが、長引く高インフレに苦しむ英経済をどう導くのか注目です。それでは先週のマーケットを振り返りつつ今週の相場を考察してみましょう。

ニューヨーク市場

5日:レイバーデーのためニューヨーク市場は休場

6日:連休明けのニューヨーク市場は主要3指数とも反発してスタート、ダウ平均株価は145ドル高まで上昇する場面も見られました。その後、8月ISMサービス指数が56.9と予想を上回ると9月FOMCで75bpの利上げ確率が上昇、主要3指数は売り優勢の展開となりました。3.35%まで上昇していた米10年債利回りが落ち着くと反発の兆しがみられましたが、ロシアが北朝鮮から武器購入を計画しているとの報道で再びリスクオフとなりました。ダウ平均株価終値は▼173.14の31,145.30ドル

7日:景気減速による需要の落ち込みが意識されたことでWTI原油価格が83ドル台まで下落すると米10年最利回りが低下、ニューヨーク市場はやや落ち着きを取り戻しました。8月高値から3,000ドル下落していたダウ平均株価は、ショートカバーも活発で買い優勢の展開、上げ幅は一時499ドルにまで達しました。ダウ平均株価終値は△435.98の31,581.28ドル

8日:ECB(欧州中央銀行)が75bpの利上げを決定ことで欧州国債、米10年債利回りが上昇、ダウ平均株価は99ドル安で寄り付き。週間新規失業保険申請件数は予想を下回り、改めて労働市場のタイトさが示唆されました。これで金融引き締め長期化が意識されダウ平均株価の下げ幅は一時250ドルを超えましたが、売り一巡後は買いが優勢となる展開でした。ダウ平均株価終値は△193.24の31,774.52ドル

9日:米10年債利回りが3.2%台まで落ち着いたことで投資家心理は改善、ニューヨーク市場は3日続伸となりました。日銀の黒田総裁が「急激な円安を望ましくない」と発言したことで急激に進んでいたドル高円安が一服、米企業の業績圧迫要因が後退という見方が広がりました。FOMC前のブラックアウト期間前となりFRBメンバーの発言が相次ぎ、9月FOMCで75bpの利上げが織り込まれたと見えます。ダウ平均株価終値は△377.19の32,151.71ドル、S&P500は△61.18の4,067.36ポイント、NASDAQは△250.18の12,112.31ポイント

東京市場

5日:世界的なインフレと景気後退が懸念される中で欧州の天然ガス供給がが再燃し、日経平均株価は4日続落となりました。下げ幅は一時140円に迫る場面も見られましたが、節目となる27,500円近辺では反発、円安傾向が進行していることも輸出関連株の買いに繋がり相場を下支えしました。日経平均株価終値は▼31.23の27,619.61円

6日:4日続落していた日経平均株価は、自律反発とショートカバーで高く寄り付いたものの直後マイナス圏に。その後米株価指数先物が上昇すると、日経平均株価も切り返し上げ幅は一時190円を超える場面も見られました。しかし、買い一巡後は戻り待ちの売りに押され上げ幅を縮める展開でした。5日移動平均線もレジスタンスとして機能しました。日経平均株価終値は△6.90の27,726.51円

7日:前日のニューヨーク市場で主要3指数が下落した流れの東京市場はリスクオフの展開となりました。週末にSQ(特別清算指数)を控えたポジション調整もあり、日経平均株価の下げ幅は一時357円まで広がる場面も見られました。米8月ISMサービス指数が予想を上回り、金融引き締めの長期化が意識されています。一方、外国為替市場で1ドル144円台まで円安が進み、輸出採算改善が期待される銘柄が買われ下げ幅を縮めました。日経平均株価終値は▼196.21の27,430.30円

8日:前日のニューヨーク市場で主要株価指数が大幅上昇したことで、日経平均株価も反発し1週間ぶりに28,000円台を回復しました。302円高で寄り付いた日経平均株価は、米株価指数先物の上昇も材料となり幅広い銘柄が買われました。9日にSQ(特別清算指数)の算出を控えた思惑買いも相場を後押ししました。日経平均株価終値は△634.98の28,065.28円

9日:ニューヨーク市場の株高に加え、アジア株式市場の上昇を材料に買い先行の東京市場は続伸。日経平均株価は28,286円まで高値を追いますが利益確定売りに押され、25日移動平均線まで戻しました。週末のポジション調整も見られたものの、全体的に堅調な推移となりました。日経平均株価終値は△149.47の28,214.75円、TOPIXは△7.91の1,965.53

***

クイーンの死と女性新首相の誕生で英国経済の行方は

リズ・トラス氏が英国の新首相として任命された6日から、わずか2日後にエリザベス女王がお亡くなりになりました。インフレ率が10%を超え、エネルギー価格の高騰で電力料金上昇に喘ぐ英国をどう導くのでしょうか。北アイルランド問題に欧州連合離脱、死者20万人を出したコロナ禍の後始末と、新首相には難題が山積みです。

英国一般家庭の光熱費は上限が4月に年1,277ポンドから1,971ポンドに引き上げられ、10月からは3,549ポンドに引き上げられます。3,549ポンドは日本円に換算して約58万円です。トラス氏は光熱費の凍結を約束していますが、そうなれば約1,000億ポンド(16兆5千億円)必要と試算されています。そしてトラス氏は「今後2年の間に成果をあげる必要がある。減税と経済成長の大胆な計画を実行する」という公約を掲げて新首相に選ばれました。英政府の歳出は、コロナ前の862億ポンドから、2022年は1,050億ポンドにまで膨れ上がっています。

インフレ率の上昇が止まらない英国は、8月4日に1995年以降最大のとなる50bpの利上げを決定しました。その結果、今年1月には1.8%台だった10年債利回りは3%を超えています。コロナ禍前に1.4000台だったポンドの対ドルレートは1.1500台まで下落しています。9月15日には金融政策委員会でさらに50bpの利上げが見込まれています。実に37年ぶりとなるポンド安は輸入コストを増大させ、財政時赤字を膨らませることになりインフレを高めるでしょう。

トラス新首相は、そのような経済情勢で「恒久減税」を打ち出しています。サプライチェーンの混乱ででカップリングが進む中で、EU離脱による人・物・金の流れを停滞させる英国に、恒久減税は良策とは思えません。減税で一時的な経済効果は見込めるかも知れませんが、長期的に見て英国経済を疲弊させることになるでしょう。財政の縮小・拡大、減税・増税はタイミングを間違えると経済にとって致命的となります。これらの理由から、トラス新首相率いる新しい英国は経済的に失敗すると見ています。

日銀黒田総裁発言で下落したUSD/JPY

NIKKEI
NIKKEI

145円手前で押されたUSD/JPYは、9日の日銀黒田総裁による「急激な為替レートの変動は好ましくなく、市場の動向を今後とも十分注視していきたい」との発言で141円50銭まで下落しました。3.35%に上昇していた米10年債利回りが3.20%まで低下したことも原因です。その後、米10年債利回りが再び3.30%まで上昇したことで、再びドルが買われ142円65銭まで円安が進みました。

20日〜21日に開催される9月FOMCでは75bpの利上げが決定される見込みです。ブラックアウト期間前となりFRBメンバーの発言が相次ぎ、ここ数日のマーケットは75bpの利上げが織り込まれた動きとなりました。そのため、米10年債利回りが再び3.30%に上昇してもUSD/JPYの上昇が限定的だったものと思われます。

FRBが金融引き締めを鈍化させる理由もなく、9月FOMCで75bp利上げがほぼ確実となっていることから考えても、これからもドル高円安が進むことは間違いありません。日銀の金融緩和政策が変わらない限り、日米金利差が拡がれば円は売られます。BOE(英中央銀行)、RBA(オーストラリア準備銀行)の利上げにも注目が必要でしょう。いずれにしても、USD/JPYが145円を超えるのは時間の問題です。

GuruFocus 
GuruFocus 

上の図で解るように、1970年以降、逆イールドが発生した7回全てのケースで約1年後にリセッションとなっています。10年債-2年米国債利回りスプレッドは7月以降逆イールド状態が続いています。

9月9日のニューヨーク市場では米10年債利回り、米主要株価指数とも上昇しました。米10年債の利回りは現在3.31%です。実質金利が上昇を続ける限り株価の上昇は困難です。9日のニューヨーク市場で債権と株式の両方が上昇したことには違和感しかありません。金融引き締めでこれからも実質金利が上昇することを考えれば、9日のニューヨーク市場は危険な兆候だと見ています。

今週の相場見通し

8月16日から9月6日までで3,000ドル下落していたダウ平均株価は、この2営業日で630ドルの上昇を見せました。急激な下げによるショートカバーも含め、割安感の出た銘柄に買い戻しが進みました。堅調な経済統計や原油価格の下落がインフレへの警戒感を後退させたことも材料となっています。

一方、日経平均株価は7日に27,430円と節目の27,500円を割り込んだものの、75日移動平均線がサポートなり翌8日には28,000円台を回復しました。7日の場中安値27,269円はボリンジャーバンドの-2σタッチです。週末の9月9日はメジャーSQ通過という一服感もあり大幅上昇に寄与しました。

今週は3日に米8月CPI(消費者物価指数)の発表があります。原油価格の低下もあり、インフレ率が上振れする可能性はないでしょう。それでも、数字が大きく低下することもありませんので、FRBの金融引き締めを評価する材料になるものと思います。

12日には英7月月次GDP(国内総生産)他、エリザベス女王逝去と新首相誕生で新しい時代を迎える英国の経済統計が発表されます。高インフレが進む英国の経済統計にも注意が必要でしょう。

今週12日から16日の東京市場は、来週21日からの9月FOMCを控えて落ち着いた動きになるものと予想しています。28,250円水準にあるレジスタンスの25日移動平均線を意識した展開にになり、ここを上抜ければ買い安心感が広がるものと思われます。ただし、先週後半の急激な上昇による利益確定売りや、25日移動平均線の抵抗でこの水準は揉み合う展開が予想されます。

***

編集後記

20001年9月11日に3,243人もの犠牲者を出した衝撃的なテロ事件は、今日で21年目を迎えました。夜のニュースで飛行機が突っ込む映像を観た時には、あまりにも現実感が無くて映画のワンシーンだと思ったくらいです。

この当時、私は六本木1丁目に住んでいて、ベッドルームの窓からは東京タワーが見えいました。この事件の後、何度も東京タワーに飛行機が突っ込む夢を見たものです。それくらい衝撃的な映像でした。

その後、ワールドトレードセンターが崩れ落ちる映像を観て、最初に思い浮かんだのが地下にある金庫室でした。ワールドトレードセンターにはバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーなどの金融機関が多数入居しており、NYMX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)の金庫室もありました。現金だけでなく、大量の金塊や国債などの保管がしてあったのです。

後に、地下金庫室からは高熱で変形した10トン近い金塊が回収されたと記憶しています。高熱で変形した金塊は戦地からも大量に出てきます。アフガニスタンやイラクの戦場でも、爆撃された銀行などから回収され、やがて市中に出回るようになります。9.11同時多発テロが引き金となったアフガニスタン紛争でも、大量の金塊が戦地から回収されて世界中に持ち出されました。

これら、戦場から持ち出される金塊や宝石・貴金属の多くは、戦地に投入された兵士らによって回収されると推測します。アフガニスタンに米軍が展開されて2年くらい経った頃、日本にも熱や衝撃で変形した金塊が持ち込まれました。おそらく、アフガニスタンから在日米軍基地の関係者に渡った物だと思います。なぜそのように推測したのかというと、米軍関係者と親しい関東の反社会的勢力が扱っていたからでした。

アフガニスタンの金融機関や財閥が所有する保管場所が爆撃で崩壊した後に回収したのではないかと思います。日本に持ち込まれた金塊などは、反社会的勢力などの手によって売り捌かれたわけですが、その時には質屋だとか貴金属業者が手を貸すわけです。一度溶かしてからインゴットやナゲットに加工して売るので、専門業者が必要なんですね。私が知っている質屋は、消費税を免れるためにナゲットに加工してから販売しました。

戦場の金塊・宝石類など、多くの人が亡くなっている場所で奪われた物を扱うとかなんか嫌な感じです。人間の欲望とは恐ろしいものだとつくづく思い知らされました。9.11同時多発テロは3,243人もの犠牲者を出した悲惨なテロ事件でしたが、そのせいで生きていることを実感できたという側面もありました。元気で生活できていることに感謝したいですね。

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猫組長TIMES 次号は9月14日です。

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