今週の相場見通し-ショートカバーでリバウンドも上値は重い

ダウ平均株価は週間で1504ドル下落しついに30,000ドルを割りました。日経平均株価も連れ安となり26,000円を下回るなど、ようやく実体経済に見合う相場へ向かいつつあります。
NEKO TIMES 2022.06.19
誰でも

みなさんこんばんは、猫組長です。

夏がもうすぐそこまでやってきているといった感じですね。各国中央銀行が金融引き締めを加速し、リスク資産から資本の逃避が進んでいます。新型コロナ禍が落ち着きを見せ始め、金融市場が実体経済を反映し始めました。それでは先週のマーケットを振り返りつつ、今週の相場を考えて見ましょう。注目銘柄もピックアップしていますので最後までお読み下さい。

ニューヨーク市場

13日:先週末に発表された米5月CPI(消費者物価指数)が予想を上回ったことで、FRBによる金融引き締めが加速するとの警戒感が高まりました。14日から開催されるFOMCで75bpの利上げがあるのではないかとの観測も上がり、米10年債利回りは3.4%まで上昇しリスクオフが進みました。中国での新型コロナ規制を嫌気したアジア市場や欧州市場の下落もリスクオフの傾向を強め、ダウ平均株価の下げ幅は一時1000ドルを超えました。ダウ平均株価終値は▼876.05の30,516.74、SP500は▼151.23の3,749.63ポイント、NASDAQは▼530.79の10,809.23ポイント

14日:米5月PPI(生産者物価指数)は前月比+0.8%、食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.5%上昇、前年同月比では+8.3%と堅調な伸びを示しました。前日の大幅下落からショートカバーもあり主要指数は小幅高で寄り付いたものの、FOMCを控え積極的な買いとはなりませんでした。そして6月7月と2ヶ月連続の75bps利上げの観測が浮上、10年債利回りが3.45%まで上昇し売り圧力が高まりました。ダウ平均株価終値は▼151.91の30,364.83ドル

15日:5営業日で2800ドル超下落していたダウ平均株価はショートカバーに加え、良好な中国経済統計や欧州市場の上昇を受けて受けて6営業日ぶりに反発する展開でした。FOMCが金利を75bps引上下を発表すると下げに転じる場面も見られましたが、パウエル議長の記者会見で大きく上昇、上げ幅は一時600ドルを超えました。市場は75bpの利上げをすでに織り込んでおりFOMC通過の一服感も買い材料となりました。ダウ平均株価終値は△303.70の30,668.53ドル

16日:FOMCの75bp利上げに続き、英中銀も25bpの利上げを発表、さらに予想外となるスイス中銀が15年ぶりとなる50bpの利上げを行い、各国中央銀行の金融引き締めが加速しました。グローバルなインフレと金融引き締めで世界経済への警戒感が高まりリスクオフが進行、ダウ平均株価は2021年1月以来1年5カ月ぶりに30,000ドルの大台を割り込みました。ダウ平均株価終値は▼741.46の29,927.07ドル

17日:パウエル議長が「物価抑制のために必要な措置を講じインフレを2%に戻す」と金融引き締めへの強い決意を表明、景気悪化への懸念が高まりました。それでも、短期的な大幅下落からの買い戻しもあり下値は限定的でした。WTI原油価格が下落したこともインフレが和らぐとの安心感につながり、SP500とNASDAQは反転しました。ニューヨーク市場は明日から3連休前ということもあり、リスク回避で弱含みました。ダウ平均株価終値は▼38.29の29,888.78ドル、SP500は8.07の3,674.84ポイント、NASDAQは152.25の10,798.35ポイント

東京市場

13日:先週末のニューヨーク市場でインフレへの懸念と金融引き締め加速の警戒感から、主要3指数が大幅下落した流れを受けた東京市場はリスクオフが一気に進む展開でした。外国為替市場で1ドル135円まで円安が進行したにも拘らず、自動車や機械など輸出関連銘柄も売られ相場の支えにはなりませんでした。前場でTOPIXが-2%となったことで、日銀が今年7回目となるETFを701億円買い入れましたが、下げ幅は1月27日以来の大きさでした。日経平均株価終値は▼836.85の26,987.85円

14日:米国でインフレが進行する中、14日から始まるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え75bpの利上げ観測も浮上、前日に続き売り優勢の展開となりました。日経平均株価の下げ幅は一時600円を超える場面も見られましたが、米株価指数先物が上昇したことで下げ幅は縮小しました。日経平均株価終値は▼357.58の26,629.86円

15日:FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表を日本時間深夜に控え、金融引き締め加速への警戒感が高まりました。市場コンセンサスが75bpの利上げへ傾き運用リスクを避ける展開となりました。10年債利回りが3.45%を超えるなど金利の先高感と景気悪化への警戒感から幅広い銘柄が売られました。日経平均株価終値は▼303.70の26,326.16円

16日:FOMC(米連邦公開市場委員会)が75bpの利上げを決定したものの、重要イベント通過の安心感とショートカバーで買い優勢の展開。日経平均株価は4営業日で1900円下げており、割安感の出た銘柄が買われやすい地合いでした。上げ幅は一時600円を超える場面も見られましたが、買い一巡後は上げ幅を縮小しました。日経平均株価終値は△105.04の26,431.20円

17日:FRBの75bpに続き英中銀が25bp、スイス中銀が50bpの利上げを決定すると、世界的なインフレと金融引き締めが意識されリスクオフが進む展開でした。日経平均株価の下げ幅は一時700円を超える場面も見られたものの、日銀が金融緩和策を維持すると発表すると下げ渋りました。日経平均株価終値は▼468.20の25,963.00円、TOPIXは31.91の1,835.90

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金融正常化で高まる世界経済への警戒感

FRB(米連邦準備理事会)による75bpの利上げに続き、英中銀とスイス中銀が利上げに動きました。世界的なインフレは各国中央銀行に金融引き締めを加速させています。FRBのパウエル議長はインフレ率2%の達成に「極めて重点的に」取り組み、インフレ抑制へのコミットメントに「条件はない」と強調しました。金融市場の不安定さを顧みずインフレ抑制へ取り組むという意思表示です。そして、FRBは雇用の最大化より物価の安定を優先させると宣言しました。これは失業率増加は覚悟の上で需要を抑え供給のバランスをとるということです。つまり、景気を後退させるという意味になります。それでもまだFRBのリスクシナリオは甘いと言えるでしょう。

さらに市場を驚かせたのがスイス中銀による50bpの利上げ決定です。インフレが制御不能になるという危機感から予想外の利上げですが、これにより欧州株が急落しました。ニューヨーク市場も大幅下落、日経先物も大幅下落とさながらスイスショックといった感じです。

ニューヨーク市場は1週間でダウ平均株価が4.79%、S&P500が5.79%、NASDAQが4.78%の下落となり、揃って3週続落となりました。これでS&P500は最高値からの下落率が23.7%となり、NASDAQが33.4%と完全に弱気相場入りです。ダウ平均株価も30,000ドルを割り、緩和前の水準である28.500ドルに迫っています。S&P500は緩和前の水準が33,00ポイント、NASDAQが9,500ポイントでした。

以前から、緩和で上昇した株価は緩和終了で元の水準に戻ると主張してきましたが、もう少しで実証されるでしょう。一方、日経平均株価については24.000円辺りが緩和前の水準ですが、3月9日につけた24,682円で一応クリアしたと考えています。この24,682円はPER12倍であり、過去の日経平均株価PER推移から考えても、現段階での底と捉えるのが合理的です。

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今週の相場見通し

先週の株式市場はまさにスイスショックと呼べるものでした。SNB(スイス国立銀行)が予想外の50bp利上げを決定したことでダウ平均株価は30,000ドル割れ、日経平均株価は27,000円割れというサプライズ相場でした。

ニューヨーク市場は18日から3連休で明日が休場となります。短期的な売られ過ぎから一定のリバウンドが予想されますが、あくまでもベアマーケットラリーに過ぎません。注目は22日上院銀行委員会、23日下院金融サービス委員会で行われるパウエル議長の議会証言です。最近のFRBはインフレ抑制を最優先させており、金融市場への配慮は微塵も感じられません。金融引き締めに対する強い姿勢や警戒感を高める発言が飛び出せば、再び株式市場がネガティブに反応するでしょう。

日経平均株価は6営業日で2500円超下落、5月12日以来の26,000円割れとなりました。幸いと言えるのは5月12日の場中安値25,688円を下回らなかったことです。テクニカル的に見ると、若干売られ過ぎの傾向にあり、自律的な反発とショートカバーラリーになりそうです。ただし、依然としてインフレへの警戒感は高く外部要因も不安定です。目先は16日終値26,431円の窓を埋めに行く展開が考えられます。その上の26,800円には75MAがレジスタンスとして控えており、現状でこのラインを上抜けるのは難しいでしょう。為替動向も不安定さが増しており、傾向としてはディフェンシブ銘柄へ資金がシフトしそうです。

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注目銘柄

【7841】遠藤製作所 時価総額66億円で総資産218億円、利益余剰金136億円、PBR0.36倍、配当利回り2.13%の黒字企業です。ゴルフブームで順調に業績を伸ばす超優良企業です。株価は3月8日に542円の年初来安値から順調に切り上げ現在704円です。

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編集後記

昨夜、少し動悸と冷や汗を感じたのでクリニックへ行ってきました。知人のクリニックは診療時間が終わっていたので、六本木にある心療内科を紹介してもらいました。おそらくエアコンに当たり過ぎたことで自律神経に変調があったのだと思います。昨年も同じ症状で病院へいった経験があるのでそれほど心配はありませんでした。それでも、動悸とか他の病気の可能性があるのですぐに診察を受けたわけです。

初めてのクリニック、電話で紹介は受けていたもののちょっと緊張しながら診察室へ入りました。すると茶髪に厚化粧の若い女医さんが鼻マスクで「こんばんわぁ〜」と迎えてくれました。ニコるんみたいな女医さんで少し不安になりました...

「私お医者さんになってまだ経験が浅いのでよろしくお願いしま〜す」みたいなことを言うので、おいおい大丈夫かと思いつつ症状を伝えました。「うんうん、ありますよね〜」「眠れましたか?、睡眠は大事ですよ、よく寝てください」いや、そこじゃないんだよ。結局どうなんだよ。

「それで先生、どうなの?」と聞いたら「う〜ん、よく分からないですね。とにかく睡眠が大事です」ととにかく眠らそう眠らそうとするんですよ。「私、掛け持ちで診療してるんですが忙しくて疲れてるのによく眠れないんです」と言うので「それは大変だねえ、無理しすぎじゃない?」とかどちらが医者か患者か分からなくなってきました。

「とにかくよく眠れるお薬出しておきますから、ゆっくり休んでください」どうしても私を眠らせたいようです。「私も好きなお薬で毎日飲んでるんでおすすめですよ」いや、お前が飲んでるんかい!とツッコミたくなるのを抑えて「あんまり薬ばかり飲んじゃダメだよ」ともう何をしにきたのか分からなくなってきました。その後も関係ない話ばっかりしてくるので「先生、あんまり時間ないから。結局どうなの?」と結果を求めたのです。

「どうなんでしょうねえ」と彼女はため息をつきました。おそらく、診療が必要なのは私ではなく彼女なんじゃないでしょうか。結局、何の成果もなく診察代4,000円ほどを支払い帰宅しました。もうすっかり体調は元に戻りました。あの女医さんが心配です。

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本日19:00〜 ZOOMミーティング一般開放しています。お時間がある方はご参加ください。

猫組長TIMES 次号は6月22日です。

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