DeepSeekショック|状況を整理し、買いか売りかを考察します。

27日の米株式市場ではdeep seekショックが起こり、半導体大手エヌビディアの株価が前週末終値比17%安、時価総額が5930億ドル(約92兆円)消失するほどの事態となりました。果たしてdeep seek技術的ブレイクスルーを実現するのかについて考察していきたいと思います。
NEKO TIMES 2025.01.29
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DeepSeekショック

週明け27日の米株式市場で、半導体大手エヌビディアの株価が前週末終値比17%安となった。ロイター通信によると、時価総額が5930億ドル(約92兆円)消失した。米上場銘柄の1日当たりの減少幅としては過去最大。中国の新興企業「ディープシーク(深度求索)」が開発した生成AI(人工知能)の基盤モデル「R1」が、エヌビディアの得意とするAI向け高性能半導体の需要継続に懐疑的な見方を浮上させた。R1は、エヌビディアの最新半導体を使わずに、「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIの基盤モデルに匹敵する回答性能を示したことで一躍注目を浴びた。ディープシークは、メタ(旧フェイスブック)の高性能な基盤モデルなどから学習させる手法で性能を向上。これにより、一つのモデルにかかる学習コストを600万ドル(約9億円)以下に抑えたという。事実なら、米競合企業の10分の1だ。オープンAIなどは、AIの性能がデータ量や計算能力に比例するとの考え方に基づき、開発を進めてきた。エヌビディアはこの流れに乗り、計算能力が高い半導体を開発し、市場の評価を高めた。ディープシークの手法が広がれば、エヌビディアの業績に悪影響が及ぶ恐れもある。実際、27日の米市場では警戒感から多くのAI関連銘柄が売られた。エヌビディアの時価総額は2兆9000億ドル(約450兆円)と、トップから陥落。1日の減少額は、トヨタ自動車の時価総額(約46兆円)の約2倍に達した。米メディアによると、ディープシークは2023年、ヘッジファンド共同創業者の梁文鋒氏が設立した。1985年生まれの同氏は中国広東省育ち。大学卒業後の2015年にヘッジファンドを共同創業し、AI技術を投資に活用。同氏は中国のAI推進役として注目を集めている。
時事通信

27日の株式市場はDeep seekショックでエヌビディアの株価が前週末終値比17%安となり、時価総額ベースでは5930億ドル(約92兆円)消失しました。エヌビディアを震源地とする下落は半導体・AI関連全般に波及し、AIグロースは平均で30%を超える下落となっております。昨晩の株式市場は下落に対する反発、ヘッジファンドの買い戻し等で切り上げたものの、今後の展望について気になっている方が非常に多いことでしょう。そこで本日は、Deep seekは業界に革新を生み出すのか、それとも一過性で終わるものなのかについて私の相場観をお伝えしていきたいと思います。

Deep seekは一過性?

ほぼ一夜にして米国をさまざまな意味で驚かせたDeep seekは大手の生成AIプラットフォームに対して、低価格かつオープンソース主体のソフトウェア手法で立ち向かい、彼らのビジネス計画を打ち砕くかのような勢いを見せました。メタやマイクロソフト、テスラなどはエヌビディアのGPUを大量購入し、兆円単位の札束の殴り合いでAI能力の向上を行なっている中、Deep seekの場合は、一つのモデルにかかる学習コストを600万ドル(約9億円)以下に抑えたと言われており、事実なら、米競合企業の10分の1となります。本当にこれが真実であれば、エヌビディアを中心としたAI関連の凋落は避けることができず、世界の勢力図を一新させる爆発的なイノベーションです。ですが果たして中国のスタートアップ企業にそれが実現可能なのでしょうか。まだ様々な情報が錯綜しており、断定的な判断を行うことはできませんが現時点における私の答えはNOです。その理由について後述していきます。

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