恒大集団デフォルト危機と債務上限問題

株式投資で成功することは決して簡単なことではない。
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その後押しになる情報を初心者にも分かりやすくお伝えしていきます。
NEKO TIMES 2021.10.06
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みなさんこんにちは、猫組長です。日経平均株価は-293.25の27,528.87円と続落です。8営業日連続の下げは2009年7月以来、12年ぶりです。この水準は7月8月に意識されたサポートラインで、一目均衡表日足の雲下限にあたります。リスク要因として警戒感の高まっている恒大集団デフォルト危機について中沢隆太氏に解説してもらいました。

***

第五回の配信では

【恒大集団デフォルト危機と債務上限問題】

1週間の各市場の値動きと今後の展望

②恒大集団に関する現状のニュースから見る今後の方向性 

③米国債務上限問題の相場への影響度

をお伝えしていきたいと思います。

まずは、9月28日〜10月5日の各市場の値動きを振り返りたいと思います。

ハンセン指数

出典:SBI証券

出典:SBI証券

10月5日のハンセン指数は終値24,104.15 前日比 +67.78 (+0.28%)で取引を終えました。

10月4日の朝方、恒大集団、傘下の恒大物業株が上場先の香港市場で取引停止が発表されると株式相場では、中国恒大問題が改めて警戒され、ハンセン指数が急落しました。今現在も、取引停止理由は明らかにされておらず、その不透明さから市場はリスクオフ基調を強めておりますが、ハンセン指数は長らく下落していること、取引停止ニュースの大きさに対してハンセン指数の下落率が低かったことを考えると一時的な底値圏に近づいているのではと考えます。

株式市場は「分からないこと」を一番嫌がります。近く取引停止理由が判明すれば一時的には安定を取り戻すと思われますが、恒大集団問題から波及する不動産バブルの崩壊、中国電力不足等、抱える問題は多く引き続き厳しいマーケットが予想されます。

ダウ平均

出典:SBI証券

出典:SBI証券

10月5日のダウ平均は34,314.67 前日比 +311.75 (+0.92%)で取引を終えました。

主力ハイテク株に見直し買いが流入したほか、米9月ISM非製造業景況感指数が市場予想を上回ったことが好感され、相場を押し上げました。8月以降、節目の35500ドル処を何度もトライしましたが越えられず、調整局面入りを余儀なくされましたが、過去に2度反発した34000ドルを意識し下げ止まる展開となっております。ここからの値動きは再度上昇基調へ以降していくのか、下落するのかのターニングポイントかと思います。

ダウ平均に対し、節目で止まることが出来なかったナスダック指数が気がかりです。

テーパリング、債務上限引き上げの難航、インフレ率上昇懸念から米国10年債利回りは再び1.5%台へ上昇したことでハイテク株は強い売り圧力に晒されています。引き続き長期金利は上昇圧力がかかると思いますし、金利の行方には要注目です。

米国国内では、今週末に控える雇用統計に注目が必要です。11月のFOMCにてテーパリングの開始アナウンスが既定路線となっている中で、米9月の雇用者数、失業率はテーパリングの可否の最終確認と言えると思います。

株式市場は、11月テーパリング発表のメインシナリオを既に折り込み済で、市場予想の48万8000人増を大きく下回った時のみ、株式上昇で大きく反応すると考えております。

発表当日に大きな値動きはないと見ていますが、テーパリングは2021年のメインテーマであり、皆様にも11月2.3両日はご注目頂きたいと思います。

日経平均

出典:SBI証券

出典:SBI証券

10月5日の日経平均は終値27,822.12 前日比 -622.77 (-2.19%)で取引を終えました。

中国問題や米債務問題、原油高によるインフレ懸念等を要因に、日経平均は7日続落となりました。下げ幅は一時900円に達し、後半は下げ渋ったものの、菅前首相が退陣表明以後急伸した分を打ち消す形となりました。節目であった28000円や支持線である75MAなどを悉く割り込むなどテクニカル的にはかなり厳しい値動きとなってしまいました。 また、東証1部全体の84%の銘柄が下落など、セクターを問わずリスクオフの流れが加速しております。

本日の下落は、恒大集団問題に加え、前日の米国株市場において米長期金利上昇を起因として、主力ハイテク株中心に売られたことが要因と考えられます。ナスダック総合指数の下落率が特に大きく、フィラデルフィア半導体株指数も下げが際立つ状況となっており、これが日本市場にも波及する形となりました。

日経平均は直近の大幅下落により、各MAを支持線から抵抗線への移行させてしまい、目先は世界情勢不安も相まって調整色を強めてしまうものと考えます。

上昇機運の高まったところに水を注されてしまい、8月31日からの上昇分を帳消しにしてしまいましたが、今世界が抱えている問題は日本に直接的に関係ないものが多いことも事実です。かねてからお伝えしているように、日本市場はここ半年、米国株に逆行し停滞しており、上がり続けていた米国株よりも割安水準にあります。

恒大集団、米国債務問題、テーパリング、スタグフレーション等、世界全体が抱える問題には引き続き注意が必要ですが、市場が安定感を取り戻した時には日本市場に資金が入りやすい状況に変わりはありません。

落ちるナイフには手を出さず、今は底打ちを確認後、買付できるよう資金の準備をしておくべきかと思います。

以下、

①恒大集団に関する現状のニュースから見る今後の方向性              ②米国債務上限問題の相場への影響度

について分析、考察した内容となっております。

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続きは、4649文字あります。
  • ◆恒大集団株、香港市場での売買停止
  • ◆中国政府による恒大集団の直接救済路線は破綻か
  • ◆米国債務上限問題の行方

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