解説|テスラ急落から読み解く米経済の深層

雇用者数の大幅な伸び悩み、ベージュブックが示す景気減速警告、そして関税によるインフレ圧力の高まり。一連の経済統計が発する警告シグナルの背景には、トランプ政権の政策変更が引き起こした深刻な不確実性がある。テスラの1500億ドル企業価値消失から米中レアアース合意まで、今週の動きから米経済の現在地を読み解く。
猫組長 2025.06.06
読者限定

NEKO TIMESは、短期目線に振り回される投資家を救済することを目的に、マクロかつ中長期の視点からビジネス・経済や為替・株式市場の話題を取り上げます。投資家に限らずビジネスパーソンの方も数多くご登録いただき、22,000人を超える読者の皆様が購読するニュースレターメディアとして、成長を続けています。

サポートメンバー(有料会員)向け配信では、個別銘柄の値動きの解説も行い「売買の意思決定に直接関わる情報」を読者限定で配信しています。日曜日に配信する【猫組長|今週の相場見通し】では為替動向にも触れます。水曜日に配信する中沢氏が分析する日米株式情報も見逃せません。一部配信を有料読者に限定し、個別銘柄を解説しています。そして、有料版読者の皆様には特典として猫組長と直接交流できるオンラインライブイベントへご招待しています。

***

NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日のNEKO TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。NEKO ADVISORIESでは新規会員募集中です。

今週の米国株式市場は、政策変更と企業業績への不安が交錯する複雑な展開となりました。なかでも注目を集めたのは、イーロン・マスク氏率いるテスラを巡る一連の動きです。同社株価は14%以上の急落を記録し、過去5営業日のうち4日間下落という惨憺たる状況となりました。

この背景にあるのは、マスク氏とトランプ大統領の公然とした確執の激化です。両者の言葉の応酬が始まって以来、テスラは実に約1500億ドルもの企業価値を失っています。さらに、マスク氏が発案した政府効率化省(DOGE)も、彼の退任により事実上のリーダー不在状態に陥るという混乱ぶりです。(ロイター

この米国での激震は、すぐさま日本市場にも波及しました。テスラに車載用電池を供給するパナソニックホールディングスが4%強の大幅下落となり、米国のEV政策変更が日本企業の業績見通しにも暗い影を落としています。(四季報

一方、世界に目を向けると、トランプ大統領と習近平中国国家主席が電話会談を行い、貿易摩擦やレアアース問題について議論を交わしました。両首脳が互いを自国に招待するという融和的な姿勢を見せる一方で、関税政策を巡る不確実性は依然として高く、グローバル経済の先行きに重くのしかかっています。

本日のニュースレターでは、トランプ政権の舵取りを整理して、米国をはじめとした世界経済の先行きについて詳しく解説してまいります。

<本日のトピック>
・テスラ1500億ドル消失の真相
・レアアース合意の裏側
・ベージュブックが警告する景気減速

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4171文字あります。
  • テスラ1500億ドル消失の真相
  • レアアース合意の裏側
  • ベージュブックが警告する景気減速

すでに登録された方はこちら

誰でも
解説|『失われた30年』への審判ー参院選が示す日本政治の地殻変動
誰でも
迫る参院選|各党の政策と若年層の思想
サポートメンバー限定
相場見通し|参議院選挙による株価の行方
読者限定
解説|トランプ圧力下の参院選、問われる日本の進路
サポートメンバー限定
またもやイーロンとトランプに亀裂|テスラの下落について考察します
サポートメンバー限定
相場見通し|高値更新後のマーケットは上昇か一服か
読者限定
解説|トランプ経済戦略、大きく重い代償ー変わりゆくドル覇権
サポートメンバー限定
株式VS債券 分散投資の価値とは