解説|減税が世代を分断するー所得減税と給付を考える

物価上昇の勢いにかげりはみえません。所得減税や給付は所得層や世代の分断さえ生み出さんとしています。減税や給付というアプローチを考えるべく、日本経済状況を概観した上で、増収還元施策について考えます。
NEKO TIMES 2023.10.28
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こんにちは、NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日のNEKO TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。

夏頃には買い物に出かけても物の値段は少し高くなったかなという程度でした。先日スーパーに行った際、ネギや大根の金額が300円に迫ろうとしており驚きました。まさに賃金が据え置きの中での物価上昇を強く感じたシーンでした。

物価上昇が家計をひっ迫させる中で、岸田首相は経済対策の具体化を急ぎます。直近の内閣支持率は36%、不支持率は44%と政権にネガティブな層が増えています。(NHK)長崎・高知で行われた衆参それぞれの補欠選挙では1勝1敗となり与党としては難しい局面に立っています。年内解散選挙の可能性も残っていると幹部が発言するなど政局からも目は離せません。

このような状況で岸田首相は"挽回"しなければならない状況にあるといえます。過去2年間で所得税・個人住民税税収が3.5兆円増加したという事実をふまえて「この税収増を国民に税のかたちで直接還元する」と岸田首相は語気を強めます。

岸田首相は「所得税、個人住民税の減税が最も望ましい」と考えており、来年6月に1人当たり4万円の定額減税を行うと表明します。さらに、低所得者世帯には7万円を給付する想定といい、必要な財源は5兆円規模にのぼると考えられています。

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す国民負担率が上昇したことを踏まえて増収分を還元するといえども、経済対策には"バラマキ"という批判がつきものです。本日のニュースレターでは世界・日本経済状況をあらためて俯瞰した上で、財政や景気対策について深掘りしていきましょう。

<本日のトピック>
・日本の経済状態はいかに
・税収還元=減税・給付という異なるアプローチ
・所得制限と世代の分断

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  • 日本の経済状態はいかに
  • 税収増還元=減税・給付という異なるアプローチ
  • 所得制限と世代の分断

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