人の行く裏に道あり花の山-密かに動き始めた鉄鋼セクターに要注目

こんにちは、NEKO ADVISORIESの中沢です。本日は密かに動きじめた鉄鋼セクターについて考察していきたいと思います。
NEKO TIMES 2022.11.23
誰でも

こんにちは、NEKO ADVISORIESの中沢です。本日のニュースレターでは「人の行く裏に道あり花の山-鉄鋼セクターに要注目について解説していきたいと思います。

猫組長TIMESでは、短期目線に振り回される投資家を救済することを目的に、マクロかつ中長期の視点からビジネス・経済や為替・株式市場の話題を取り上げております。投資家に限らずビジネスパーソンの方も数多くご登録いただき、読者様も14,000人を超えました。引き続き、有益な情報提供ができるよう、精一杯取り組んで参ります。

有料版ニュースレターでは、下記の猫組長による相場見通しや、水曜日隔週の個別銘柄の値動きの解説を通じて「売買の意思決定に直接関わる情報」を読者限定で配信しています。また、有料版読者の皆様は猫組長と直接交流できるオンラインライブイベントにも参加できます。ぜひご登録ください。

以下、

◇日本市場動向

鉄鋼セクターの見通し

◇鉄鋼関連銘柄

◇その他推奨銘柄

◇一時的にボラティリティを失った日本市場

楽天証券

楽天証券

先週のマーケットは上下ともに動きの少ない、低ボラティリティでした。米国では12月12日に開催されるFOMCを控え、引き続き様子見の展開が続いていく事でしょう。日本市場も米国市場に連れる形で動きの少ない展開が続いていく事が想定されます。その結果として、先週解説したように、IPO関連や新興市場へ短期的な資金がシフトしていきます。IPOのセカンダリーについては、ある程度銘柄、チャート分析ができる方のみ参加された方がいいかと思いますが、デイトレード、スイングトレードをするにはいいタイミングです。詳しくは今後IPOの応用篇としてまとめる予定ですが、初値予想よりも下で寄り付き、上場後数日で出来高を伴い最高値をブレイクなど、資金が流入しやすい銘柄を監視してみると良いかなと思います。

◇長らく低迷続きの鉄鋼に一筋の光が?

上記は鉄鋼セクターの月足チャートになります。1989年、2007年に大相場をやった鉄鋼関連ですが、ここ10年以上は長い下落を余儀なくされております。中国の過剰生産や安価な鋼材輸出とそれに伴う国際市況の低迷など、業界としてはまだまだ厳しい状況は続いていくものと考えられます。

しかし、マクロ的な視点ではなく企業の業績や鉄鋼関連のファンダメンタル、チャートを見ると投資妙味があるように感じます。ローソク足で見るとダウントレンドをブレイクし、底打ちしたような形をしております。長期投資として銘柄やテーマを分析する場合、月足でのチャート分析は必須です。すぐに動き出すわけではないですが、月足での底打ち、トレンド転換は強い安心材料の1つになる事でしょう。

◇日本製鉄 (5401)

まだ注目度が低いうちに?日本製鉄に業績と株価との大きなギャップが存在!

2022年11月1日に発表された日本製鉄の決算は上期実績連結事業利益5417億円の過去最高益となりました。とはいえ、世界粗鋼生産が13ヶ月連続で前年同月減、国内鋼材需要減、東アジア主原料マージンの低迷など事業環境としては、決していいものではありませんでした。

そのような環境において、企業努力で収益増加させた経営陣の手腕は高く評価すべきだと思います。特に従前過去最高益だった2014年度に対して、先述のような需要減少・円安の進行など 外部環境が悪化し粗鋼生産量が3割(▼1,400万t)減少するなかで、 数量に頼らず安定的に6,000億円以上の利益を確保する収益構造を構築し、 2022年度は実力ベース連結事業利益6,300億円を確保する見通しです。業績については申し分ありません。

次に推奨する点としては破格的な割安さです。PER3.12 PBR0.53、配当利回りは7.93%です。鉄鋼業のTOPIX業種別指数が底打ち示唆が出ていることにこの割安さ、高い配当利回りを考えると現在の株価は底値水準であると判断してもいいのではないでしょうか。

さらには、日本製鉄の株価は約2年ほど1800円〜2300円のボックス圏での推移となっております。持ち合いはいずれ一方向に強くブレイクすることになりますが、その期間は2年間と長いため、強いパワーが秘められております。現在の同社を取り巻く環境、ファンダメンタル、企業業績を鑑みると下ではなく、上に抜けていくと見ております。合わせてこれまでの同社の株価はどうしても鋼材市況や鋼材需要に依存し、連動してきておりました。長らく、鋼材市況が軟調であったことからも、ここまでの株価下落はなるべきしてです。しかし、抜本的な収益構造の改変により、鋼材市況が軟調な現在においても最高益を出せる体制が構築されました。上がり続けることも、下がり続けることもないように、需要と供給は交互に循環されます。鋼材市況が好転とはいかずとも、下落が止まれば鉄鋼関連株の大幅高が訪れるのではないでしょうか。

鉄鋼関連株としては神戸製鋼をはじめ、JFEなど日本製鉄以外にも大手企業が存在しますが、財務状況等を見る限り日本製鉄が1番投資妙味があるように思います。

◇オキサイド (東証GRT 6521)

●しっかりとした実績と強い成長性。ぜひ長期投資のポートフォリオに。

同社は紫外線を生み出す結晶の世界シェアで9割超を有しております。半導体分野ではシリコンウエハの欠陥検査など、紫外光が使用される頻度は高く、半導体企業と蜜月の関係にあります。今後はテクノロジーの進化により益々半導体の需要が増加していく事が見込まれておりますが、そこに対する圧倒的シェアを有していることはかなりの強みです。

また、23.2期の経常利益は前年同期比55.5%増(9.3億円)で6期連続の過去最高益を見込んでおりますが、業績面ではまだまだ右肩上がりの2桁成長を続けることでしょう。それに加えて好調な業績を背景に研究開発費を当初計画の1.7倍(7.15億円)に増やし、次世代の量子通信技術やパワー半導体分野の研究開発を加速させる計画も非常に好感がもてます。SiC、GaNなどの次世代市場が拡大する過程では、同社の存在感もさらに増すことになるでしょう。

「比較的安価は原料に独自の付加価値をつけ、高価格で販売する。そしてその商品は世の中になくてはならないものであり、そのシェアは90%を超える。」

まさにビジネスのお手本のような企業だと思います。私は5年以内にプライム市場もあるのではないかと見ております。上場後なかなか注目されていない企業であるが故に、世間が同社に気付く前に抑えておくべき会社です。

今回も皆様のポートフォリオの一助になれれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

***

編集後記

みなさんこんばんは、猫組長です。

せっかくの祝日だというのに東京は冷たい雨でした。

トヨタのアルファードが大変な人気ですが、反社会的勢力からも絶大な支持を受けています。黒色の上級グレードモデルで運転席と助手席にダークスーツの男性が乗っていたらまずそれです。麻布十番や六本木に列を連ねる黒いアルファードもまずそれです。ここら辺で定期的に見られる黒いアルファードの車列は、定例会や幹部会の待機車両ですね。

山口組でアルファードが爆発的に増えたのは2007年だったと思います。この頃から、アルファードGにハイグレードな車種がラインナップされ、その居住性の高さから徐々に利用者が増えていきました。そして、2007年に「派手な高級車で総本部を訪れないように」という山口組の通達がありました。この通達が一気にアルファード需要を高めたのです。

五代目山口組時代はバブル世代ということもあり、何もかもが豪華絢爛を競ったものでした。車は反社会的勢力にとって見栄が重要ですから、こぞって高級車に乗っていたのです。ところが、六代目体制になり質素倹約という緊縮思想が色濃くなっていきました。サブプライムショックもあり経済環境が悪化していく中、豪華絢爛な車は社会からの反感も買いやすいという考え方です。それに、見栄の張り合いで経済基盤の脆弱な組織が弱体化することを危惧したという面もあります。

それまでは、センチュリーやレクサス、ベントレーにベンツといった黒塗りの高級車で総本部へ乗り付けるのがステータスでもありました。経済基盤の弱い組織の組長は、無理をして高級車を買ったり、派手な付き合いで散財するなどして破綻するケースもあったのです。緊縮令は多くの組長を安堵させました。この当時のアルファードならハイグレードな新車でも500万円あれば買えたからです。

黒色のアルファードは反社会的勢力の義理(盃・葬儀など)にもマッチしていました。居住空間の快適さに加え、組長同士の乗り合いも楽だったからです。そしてもう一つ、アルファード需要を高めたのが山口組のガレージ当番です。

山口組総本部は24時間体制でガレージ当番、本部事務所当番が毎日交代で行われています。2007年当時ですが、ガレージ当番は責任者1名と当番要員10名の総勢11名が、2次団体各組持ち回りで入っていました。乗用車だと4人づつ乗って3台が必要ですが、アルファードなら2台で大丈夫です。日産エルグランドではラグジュアリー感が欠けていましたが、アルファードなら高級感もあって受け入れられたんですね。

こうして、アルファードは反社会的勢力に普及していったのです。

***

猫組長TIMES 次号は11月25日です。

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