ESG投資とは - お金の流れを変える社会の流れ
こんにちは猫組長です。
毎週金曜日は経済や投資のトレンドに関連したコラムをお届けいたしします。普段目にするニュースや記事などでは、情報が断片的になることも多かったり、少し遠い話に聞こえたりすると思います。経済やビジネスを身近に感じてもらえるようNEKO PARTNERS岩倉氏が分かりやすく解説します。
それでは、ここからはNEKO PARTNERS岩倉よりお届けします。私自身はコンサルティングファームや国内上場企業・スタートアップ等を経て、現在は外資IT企業に勤めています。さまざまな組織や事業に関わりさまざまな視点・経験ができました。社会で起きていることを身近な例に引き寄せながら皆さんに分かりやすいコラムを配信できるよう努めます。
初回となる今回のテーマは「ESG投資」です。ニュース・新聞で目にしないことがないキーワードです。今後も関連するテーマを取り上げていこうと考えているため、この言葉の背景についてお伝えできればと思います。
ESG投資とは
実はESGという言葉が世の中で知られるようになったのは2006年にまでさかのぼる。当時の国際連合事務総長であるコフィー・アナン氏が「責任投資原則(PRI)」を発表した際に機関投資家の意思決定プロセスにESGの観点を入れるべきガイドラインを示した。財務諸表だけでは表すことのできない企業価値があると世界に向けて発信したのである。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的成長を目指す上で重視すべきESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされます。そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。
当初PRIに署名した投資家は60程度(運用残高合計8.5兆ドル - 約850兆円)であったが、リーマンショックを経て、現在は4,000近い機関投資家(運用残高合計120兆ドル - 約1京2000兆円)が署名した。世界の株式市場の時価総額に匹敵する規模である。日本においては年金積立管理運用独立行政法人(GDPIF)が2015年に署名を行なっている。
PRI growth 2006-2021 - PRIホームページ
なお、これ以前にもヨーロッパを中心に社会的な責任に基づいた投資業務を行なっていた金融機関(オランダ・トリオドス銀行など)もある。「インパクト投資」「社会的責任投資(SRI)」という言葉と比較してぜひ調べていただけると良いだろう。
ESG投資の範囲
では、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)にはどのようなテーマが含まれるのだろうか。
環境には、気候変動・生物多様性・水資源などが挙げられる。レジ袋廃止や紙ストローなどのプラスチック利用料の削減も同じテーマに属するだろう。
社会には、ダイバーシティやサプライチェーンなど社会システムや考え方に関連するテーマになる。女性活躍やアクティブシニアの文脈で捉えられていることが多い。
ガバナンスには、企業の組織・運営体制に関する内容となる。役員構成(社外取締役の登用)や少数株主の保護などの議論が進んでいる。
つまり、持続的開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)の17の目標と169のターゲットに関連する・同じことを指していると言っても良いだろう。
国連開発計画
ESG投資により変わるお金の流れ
投資家も企業も"ESG"に配慮していない場合に相手にしないケースがあるという意味では、お金の流れが変わっている。英蘭ユニリーバの企業判断をみてみよう。