解説|歪む株高相場と修正迫られる利下げシナリオ

根強いインフレの中、株式市場では一部の銘柄に上昇が集中する異例の展開が続く。労働市場の変調も見え始める中、FRBの利下げシナリオにも変化の兆しが表れている。
NEKO TIMES 2024.12.13
読者限定

NEKO TIMESは、短期目線に振り回される投資家を救済することを目的に、マクロかつ中長期の視点からビジネス・経済や為替・株式市場の話題を取り上げます。投資家に限らずビジネスパーソンの方も数多くご登録いただき、およそ22,000人の方が購読するニュースレターメディアとして、成長を続けています。

サポートメンバー(有料会員)向け配信では、個別銘柄の値動きの解説も行い「売買の意思決定に直接関わる情報」を読者限定で配信しています。日曜日に配信する【猫組長|今週の相場見通し】では為替動向にも触れます。水曜日に配信する中沢氏が分析する日米株式情報も見逃せません。一部配信を有料読者に限定し、個別銘柄を解説しています。そして、有料版読者の皆様には特典として猫組長と直接交流できるオンラインライブイベントへご招待しています。

***

こんにちは、NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日のNEKO TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。

相反する経済指標の中で独自の動きを見せる米国市場。11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇と、2カ月連続で加速。輸送費や住居費の上昇が続く中、インフレの「粘り強さ」が改めて浮き彫りとなっています。

しかし、インフレ加速にもかかわらず、投資家の間では2024年の利下げ期待が依然として根強く、株式市場は力強い上昇を続けています。S&P500種株価指数は過去1年間で約30%上昇。その中でも特に目立つのが、電気自動車(EV)大手テスラの株価動向です。同社の株価は12月11日に約3年ぶりの最高値を更新し、年初来で70%以上の上昇を記録しました。(ロイター

ただし、この強気相場の内実には注目すべき特徴があります。S&P500では9営業日連続で値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回っており、これは2004年の統計開始以来、最長記録となっています。つまり、株価上昇の恩恵を受けている銘柄は限定的なのです。このように、インフレの持続性を示す経済指標と、利下げを織り込む市場の動き、そして一部の銘柄に偏る株高が同居する現在の状況は、投資家に重要な問いを投げかけています。

本日のニュースレターでは、労働市場の変調から米国経済の現状を探り、その中での株式市場の歪みを分析します。そして、インフレの根強さを受けて修正が進む利下げシナリオについて考察していきます。

<本日のトピック>
・混迷の労働市場が映し出す米国経済の実像
・変調する株高相場 - 強まる米国株の二極化
・利下げシナリオの変容 ― 後退する緩和期待

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4276文字あります。
  • 混迷の労働市場が映し出す米国経済の実像
  • 変調する株高相場 - 強まる米国株の二極化
  • 利下げシナリオの変容 ― 後退する緩和期待

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
2025年注目の日本発スタートアップを取り上げます
サポートメンバー限定
相場見通し|トランプ関税に振り回される世界株式
読者限定
解説|米国経済、実態見極めの2月ー米企業決算と雇用統計
サポートメンバー限定
パナソニックの経営改革|低迷してきた株価の起爆剤となるか
サポートメンバー限定
相場見通し|deepseekショックVS企業業績
読者限定
解説|増税・物価高・金利上昇 迫られる生活再考
サポートメンバー限定
DeepSeekショック|状況を整理し、買いか売りかを考察します。
サポートメンバー限定
1月26日開催ZOOMミーティングアーカイブス