解説|独り負けのドイツ経済 ー政策の誤算が問う構造改革ー
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ドイツの製造業で、かつてない規模の人員削減の波が押し寄せています。世界最大の自動車部品メーカー、ボッシュは全世界で5,500人規模の人員削減を発表。そのうち3,800人がドイツ国内での削減となります。(ブルームバーグ)さらに衝撃的なのは、ドイツを代表する自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)の動きです。同社は87年の歴史で初となる国内工場の閉鎖を検討しており、少なくとも3つの工場が対象となっています。
この動きは、単なる一時的な景気後退ではありません。IFO経済研究所の発表によると、10月の雇用バロメーターは93.7と、2020年7月以来の低水準を記録。企業の新規雇用意欲は4年超ぶりの低水準にまで落ち込んでいます。同研究所の調査責任者は「企業にとっては欠員補充より解雇の可能性の方が高くなっている」と警鐘を鳴らしています。
ロベルト・ハーベック経済・気候保護相も「2018年からドイツ経済の大幅成長が止まっている」と認め、景気リスクや米中間の地経学的課題に加えて、ドイツ独自の構造的課題が経済に大きな影響を及ぼしていると指摘しています。
ドイツ経済、成長に苦戦(ブルームバーグ)
なぜ、「欧州の経済大国」と呼ばれたドイツがここまで追い込まれることになったのでしょうか。その背景には、エネルギー政策の急激な転換、産業構造の変革の遅れ、そしてコロナ禍からの回復戦略の躓きなど、複数の政策判断の失敗が重なっています。特に製造業への依存度が高いドイツにとって、これらの政策判断の影響は致命的でした。
かつて「メイド・イン・ジャーマニー」のブランド力で欧州・世界をリードしてきたドイツ経済は、今、大きな転換点を迎えています。本日のニュースレターでは、ドイツ経済を揺るがす構造的な問題と、その背景にある政策の失敗を検証していきます。
<本日のトピック>
・環境を優先するエネルギー戦略の代償
・ドイツ自動車産業を襲う"三重苦"
・ドイツ経済、正念場の構造改革へ
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