DX(デジタルトランスフォーメーション)の行方 -IT人材争奪戦は起こるのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)を誤って理解した結果、正しくデジタルをビジネスに取り入れることができていな企業も多い。今回はDXという言葉とその事例を取り上げるとともに、求められるIT人材についても考えていく。
猫組長 2021.09.24
誰でも

みなさんこんにちは、猫組長です。

中国恒大集団のデフォルト危機は中国当局の介入によって”とりあえず”回避されました。FOMC(米連邦公開市場委員会)会合も”とりあえず”波乱なく終え、市場に安心感が拡がっています。24日の日経平均は+609.41の30,248.81と大幅上昇でした。

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こんにちは、NEKO PARTNERS岩倉です。毎週金曜のニュースレターではビジネスや経済のトレンドについて解説していきます。前回「EdTechに集まるカネ -「人生100年時代」の学び方」で教育業界におけるデジタルの活用に注目した。今回はもう少し広く、デジタル化の流れ、つまり昨今言われる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について取り上げながら、キャリア形成の観点からIT人材について考えていきます。

記事の最後には猫組長による編集後記があります。今回も最後までぜひお読みください!

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DX(デジタルトランスフォーメーション)、新聞や雑誌で目にしない日がない言葉だ。コンサルティングファームやIT企業(特にSaaS系)はこの掴みどころのない言葉を使いながら、ビジネスを拡大していると言える。改めてこの言葉を考えるとともに、今後必要とされるIT人材について考える。

<本日のトピック>
・DXにまつわる誤解
・デジタルによるビジネスの変革
・DXの事例
・ビジネスとITを融合できる人材

DXにまつわる誤解

DX(デジタルトランスフォーメーション)は2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン氏によって初めて提唱された概念である。日本においては2018年に経済産業省がDXを推進するためのガイドラインを取りまとめたことを契機に注目が集まった。

(ストルターマン氏)
ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること

(経済産業省)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

経済産業省のレポートにはDXを阻む問題として旧来的なシステム(レガシーシステム)の存在を示唆し、「2025年の崖」として取り上げた。これがその後の誤解を引き起こしているように筆者は考えている。つまり、DXは競争上の優位性を確立することであるにもかかわらず、システムを切り替えること、導入することと手段が目的になってしまった。

筆者は某大手銀行でこんな体験をしたことがある。同銀行では住所変更などの手続きに「タブレット端末」を導入していた。ペーパーレス、デジタル化ときっとIRには綺麗な言葉が並んでいたことだろう。しかし現場では行員は端末操作がわからず(むしろデジタルネイティブな私の方が入力が早い)、手続きの進行(画面遷移)に行員による承認が必要など以前の数倍の時間を要した。まさにDXの失敗の典型例だろう。

デジタルによるビジネスの変革

私たちが本当に考えていかなければならないことは、システムやツールの導入を含めてデジタルを活用してビジネスモデルをデザインし、またプロセスを改善し、組織を変革しながら業績を向上させることである。デジタイゼーションとデジタライザーションという言葉の理解が重要だ。


既存ビジネスの理解と業務効率化のためのデジタル化だ。システムや業務プロセスがどのような状況なのか把握した上で効率化に必要な部分をデジタルに置き換えていくことでデジタイゼーションを実現できる。
一方、デジタライゼーションのプロセスは、すなはちデジタル化によって見える化した事実(顧客の反応、従業員の状態)をもとに、新たなインサイトを得てビジネス自体を組み立て直すことになる。

DXの事例

では、DXに成功した事例はどこにあるのだろうか。米国の地方紙であったワシントンポストやニューヨークタイムズの例が有名だ。ここではニューヨークタイムズの例を紹介しよう。

2020年に同社を退社したマーク・トンプソン前CEOは「紙中心」から「スマホ中心」にビジネス全体を変えることで同社のDXを推進した。

同氏がCEOに就任した際にすでにニューヨークタイムズの電子版を発行していた。しかしながら7万人程度の購読者が突如2万人にまで減少したのである。これは読み手を考えることなく従来の考え方でデジタル上のコンテンツを配信していたからとの考えに至った。当時NetflixやSpotifyなどコンテンツ配信(ストリーミング)サービスが消費者の心を捉え始めていた。

良質なコンテンツを継続的に購読者に届けることを使命に、これまでになかったカルチャー、エンタメ、不動産、レストラン情報なども提供するようになった。また、レシピサイトや商品・サービスのレビューサイトなど独自のメディアも発展させていった。

ピーク時の発行部数が110万部であったニューヨクタイムズは、デジタルコンテンツを提供するグローバルな媒体として今では500万人以上の有料購読者を擁している。その勢いは止まることはなく、現在は2025年に有料購読者1000万人を目指して新たな挑戦を始めている。

ビジネスとITを融合できる人材

IT人材と聞くとエンジニアやデータサイエンティストのこと思い浮かぶ。年収2,000万円で大手企業が人材を探しているという記事も目にする。その他、大手コンサルティングファームもデジタル関連の体制強化に向けて同様な人材確保に動いている。数が少ないという意味で、高度な技術をもつIT人材の争奪戦は確かに起こる。

大手企業は社内人材の育成を図ろうとしていようだが、最初からプログラミングやデータの取り扱いを学んできた人とスキルセットは大きく違うだろう。キャリアの生き残り戦略としてはビジネスとITを融合することだと筆者は考える。

どんな高度なスキルを持っていても、彼らだけでは新たなビジネスを作り出したり、顧客に提案することはできない。彼らを理解しながらビジネスを作っていける人材が求められるはずだ。さらに言えば、営業やカスターサービスに関わる職種でIT・デジタルを十分に理解している人材においても「争奪戦」が起こると考えている。

多くのSaaS企業で大手企業(エンタープライズ)向けの営業ポジションや、受注以降の顧客サービスを担うカスタマーサクセスというポジションの求人が出ている。このような職種に今のうちからチャレンジしていくことが、あなたの今後10年,15年の人生を決めるかもしれない。

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編集後記

「タワーマンションの高層階で炊く米はまずい」という科学的根拠のない話題がネット上で盛り上がっています。タワーマンション住人を揶揄する目的で面白おかしく拡がっていったようですね。

私も今から18年前にタワーマンションへ住んだ経験があります。中央区佃のリバーシティという場所にあるタワーマンションの43階でした。ディズニーランドの花火が眼下に見下ろせる眺望が気に入って引っ越しました。特に冬の寒い夜には、遠くの灯がキラキラと輝いて綺麗でした。

住み始めてみて、まず気圧の変化なのか空気感や音の聴こえ方が地上と全く違うことに戸惑いました。エレベーターで上に行く途中にも耳に違和感を覚えます。部屋の玄関ドアが気圧差で異常に重く、開けた時に凄い音のすることもありましたね。そして、窓を開けてベランダに出るとそこは絶えず台風のような状態です。

それから、地震の時の揺れが半端なかったです。揺れることで倒壊を防ぐ構造なんでしょうが、揺れる時間が長くて怖かったです。あと、朝晩の時間帯によってはエレベーターになかなか乗ることができません。駐車場も機械式の方は出し入れ渋滞が起こります。なにより、タワーマンションは狭い土地に多数の世帯で住むという近代の長屋です。その人の多さがあらゆるストレスとなるんですね。結局、私は3ヶ月で引っ越しました。あ、お米は普通に炊けましたよ。

猫組長TIMES 次回は9月26日「今週の相場見通し9月27~10月1日」です。

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