謹賀新年 2025年

2025年が始まりました。今年は、1月20日に誕生するトランプ大統領、日銀の追加利上げが相場に大きな影響を与えるリスク要因となります。
NEKO TIMES 2025.01.01
誰でも

明けましておめでとうございます。

皆さまには、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

旧年中はひとかたならぬご厚情をいただきありがとうございます。本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。

2024年大納会の日経平均株価終値は39,894.54円でした。年末の終値としてバブル期の1989年につけた38,915.87円を上回りました。

2024年元日に能登半島地震が発生、4日の大発会では経済への影響が懸念され、日経平均株価は一時770円に達するなど波乱の幕開けでした。その後、6月後半から上昇基調となり、日経平均株価は7月8日に場中42,247円の最高値を更新するなど好調でした。しかし、日銀は7月30日、31日に金融政策決定会合で利上げを決定すると相場は大きく反転、8月5日には日経平均株価が4451円もの大幅下落となり、過去最大の下げ幅を記録しました。

その後、日銀が追加上げに対する慎重な姿勢を見せたことで、市場は安定を取り戻しました。米国大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、日本では石破茂首相が誕生、堅調な米国経済に牽引されて、日経平均株価は底堅く推移していきました。終わってみると1年間の上昇幅は6,430円(19.2%)というものでした。2023年の上昇幅7,369円(28.2%)に次いで2年連続の上昇です。

2025年の相場におけるリスクは、トランプ大統領と円安+日銀金融政策の2要因が大きいと考えています。トランプは1月20日に就任すると、外交カードとして「関税率」の引き上げを各国・各製品に通達する見通しです。これは貿易戦争セカンドとも言える世界的な脅威となり得るリスクです。米国が輸入品に高関税を課せば、追加関税分が商品価格に転嫁され、インフレ再燃の恐れがあります。パウエル議長は「関税主導のインフレが経済にどう影響するかを議論している」と語るようにFRB(米連邦準備制度理事会)は警戒感を顕にしています。

トランプは、メキシコとカナダからの輸入に25%、中国からの輸入に10%の追加関税を課すと発表しています。選挙期間中には、対中輸入に60%の追加関税、全世界からの輸入に一律10~20%の関税、メキシコからの自動車輸入に200%以上の関税を課す案を提示しており、実行されれば世界経済への悪影響が予想されます。トランプの追加関税がどの程度のものになるかは現段階では不透明ですが、関税引き上げは輸入物価上昇を通じてインフレ率を押し上げるほか、家計の実質購買力を侵食し景気を抑制することは間違いありません。日本がこの追加関税の対象国となれば、対米輸出の減少が製造業活動を抑制し、企業業績を圧迫します。

日銀は12月19日の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを見送りました。「追加利上げのタイミングが近づいている」との認識を示したものの、具体的な時期などには触れませんでした。7月の利上げが市場にパニックを起こしたことも日銀を慎重にさせているでしょう。植田和男総裁は、利上げを見送った理由として「来年の春闘に向けたモメンタムなど今後の賃金動向と、不確実性が大きい米次期政権の経済政策による影響を見極める必要性」を挙げました。

2024年8月にQUICKが発表した8月の債券月次調査によると、追加利上げをする時期についての設問では「24年12月」が48%と最も多く、「25年1月」(32%)という結果でした。大方の見方は12月だったわけです。そうなると、追加利上げは2025年1月が濃厚ということになります。日銀は、追加利上げのタイミングが近づいているとの見方を示していますが、条件は整っているでしょうか?ESPフォーキャスト調査による、CPIコア(消費者物価指数-生鮮食品を除く総合)予測値総平均は、25年10-12月期以降2%を下回っていく形で、26年度は前年度比プラス1.71%となっています。物価指標でもあるCPIコアが「物価安定の目標」であるプラス2%を下回ったままで、追加利上げに踏み切れるのか注目したいところです。

日銀が追加利上げを決定すれば、外国為替市場では円高が進みます。金利の上昇でリスクプレミアムは拡大しますから株は売られやすい環境となります。その一方で、銀行、保険、証券などの金融株は有利でしょう。このように日銀の追加利上げは、今年の国内株式市場において最も重要なテーマと言えます。外部要因としては前述したとおり、トランプ新大統領の関税を含めた政策ということになります。その他、ロシア、中国、中東など地政学的な潜在的リスクはありますが、どれも不確実性が高く、相場に与える影響は予測不能です。

NEKO TIMESでは今年も最新の経済や為替・株式市場の話題を取り上げてまいります。2025年が皆さまにとって素晴らしい年となりますことを心から願っております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2025年1月1日 

猫組長

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