ジャクソンホール会議
パウエルFRB議長「テーパリングは年内開始が適切」
発言要旨
労働市場はここ数カ月でかなり改善した。デルタバリアントが直近のリスクであることに変わりはないが、最大雇用を目指す回復への見通しは良い状態だ。急速な経済再開は激しい物価上昇をもたらした。インフレ率の評価はとても重要で進行中のものであり、我々はこれからのデータを注意深く観察する。
個人消費の多くはサービスからモノへ移行、消費の急増と経済回復が需給のバランスを崩し供給不足を招いている。今後は需給のバランス改善や、緩やかな物価上昇の継続を示すデータが得られるだろう。雇用も力強い増加が続くと予想している。
我々は台頭するリスクと今後のデータを注意深く評価する。資産購入が終了しても、FRBが大量の長期国債を保有することで緩和的な金融環境を支えるだろう。今後のテーパリングのタイミングや速度は利上げ時期を示唆するものではない。
我々は最大雇用が継続し、物価上昇率が2%に達してそれを上回る状態が一定期間続くようになるまで政策金利を現在の水準で維持するとしてきた。最大雇用の実現までにはまだ多くの課題が残されているが、最大雇用に向けた継続的な見通しは良好である。
私が注目した点として、テーパリングは年内開始が適切としながらも「経済が完全雇用に達するまでにはまだ多くの課題があるため、利上げは差し迫ったものではない」とした点です。
テーパータントラムの教訓
2008年に起きたリーマンショックによる金融市場への混乱に対応するため始まったQ E(Quantitative easing)量的緩和は2014年10月まで5年間続けられました。その前年2013年5月22日の米議会上下両院合同委員会で、バーナンキFRB議長(当時)がテーパリング(量的緩和の縮小=終了の開始)の可能性に言及したことで金融市場は混乱します。長期金利は急上昇し株価は大きく下落しました。この現象がテーパータントラムです。日本語に訳すと癇癪、駄々をこねるという意味のタントラム+テーパリングでテーパータントラムという言葉が生まれたのです。
現在の金融市場もテーパリングの開始時期に注目が集まっており、テーパータントラムというワードが再び登場するようになりました。特にパウエルFRB議長など金融政策に関わる要人の発言には過敏になっているとも言えます。しかし、今日のジャクソンホール会議では、心配されていたテーパータントラムは起こりませんでした。
市場の反応はポジティブ
年内にテーパリングを開始することを示唆したものの、利上げについては差し迫ったものではないとの発言から早急な利上げ観測は後退しました。米国市場はこれを好感し長期金利は低下、ダウ平均株価とS&P500、NASDAQともに上昇しています。
テーパリングの開始時期については、9月のFOMC(米国連邦公開市場委員会)で正式に発表があるでしょう。私は11月から開始されるものと予想しています。テーパリングの開始について正式な発表があれば市場に新たな動きがあると思います。
猫組長
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