解説|米国経済、実態見極めの2月ー米企業決算と雇用統計

AI関連企業の好決算とテクノロジー企業の積極投資が続く一方、雇用関連の経済指標には変調の兆しも見られ、米国経済の実態把握が急がれています。表面的な強さの背後にある経済の地合いを、市場は慎重に見極め始めています。
NEKO TIMES 2025.02.07
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日銀の政策金利の引き上げを受けて、昨日、黒田総裁は「これまでのところ明らかに賃金と物価の好循環が回復したのは間違いない」と述べ、アベノミクス以降の成長率や物価上昇率の実績を踏まえ「完全にデフレから脱却した」と語りました。

しかし、私たちの日常生活の実感との間には、大きな隔たりが存在しているようにも感じられます。総務省が発表した2024年の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は実質で前年比1.1%減少しました。特に注目すべきは、エンゲル係数が28.3%と43年ぶりの高水準を記録したことです。これは、食費が家計を圧迫し、その他の支出を抑制せざるを得ない状況を示唆しています。黒田総裁が指摘する「賃金と物価の好循環」が本当に実現されているのか、生活者が感じるまでに時間はかかりそうです。

一方、世界最大の経済大国である米国の市場は、依然としてトランプ大統領の発言に翻弄され続けています。カナダとメキシコへの関税発動を延期する一方で、中国に対しては10%の追加関税を発動。これに対して中国も最大15%の対抗関税を発表するなど、貿易摩擦の様相を呈しています。

このような経済環境の中、2月は多くの企業が決算を発表する重要な時期を迎えます。特に注目されるのは、米国企業の業績動向です。米国経済は株高による資産効果もあり、予想以上の強さを見せています。しかし、雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった経済指標の結果次第では、長期金利の上昇や株価の下落につながる可能性もあり、市場参加者の注目が集まっています。

<本日のトピック>
・AI企業の実力が問われる決算
・揺らぐ雇用統計、高まる注目
・円相場150円の攻防、交錯する思惑

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  • AI企業の実力が問われる決算
  • 揺らぐ雇用統計、高まる注目
  • 円相場150円の攻防、交錯する思惑

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