Z世代が動かすメタバースの世界―ユニクロもフェラーリも追随できるか

メタ(Facebook)社はメタバース事業を発表した際にメタバースの世界も映し出していた。しかし実はZ世代はもう少しリアルな形でメタバースを日常に取り込んでいる。言葉ばかり広がっている「メタバース」をもう少し立体的にみてみることにしよう。
NEKO TIMES 2021.12.24
誰でも

みなさんこんばんは、猫組長です。

今日はクリスマスイブです。今年は昨年と打って変わり、街は人混みで歩けないほどでした。コロナ禍を過ごしてきた反動もあるのでしょう。このままコロナ禍が終焉して以前の日常に戻れることを切に願います。

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こんにちは、NEKO PARTNERS岩倉です。毎週金曜のニュースレターではビジネスや経済のトレンドについて解説していきます。

これまで2週に渡っていま多くの人が関心を寄せているメタバースNFTを取り上げました。今週は改めてメタバースをとりあげます。言葉ばかり独り歩きしているので、もう少し具体的にメタバースを知る機会にしていただけたらと思います。

<本日のトピック>
・メタバースをめぐる各社の動き
・現実であること、感じられること
・Z世代とメタバース

記事の最後には猫組長による編集後記があります。今回も最後までお読みください!

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メタバースをめぐる各社の動き

メタバースのいまはインターネットの歴史における勃興期と同じなのだろうか。期待が先行し、具体的なことはまだ大衆はイメージできていない。前回の記事でも紹介したが、まずメタバースはゲームの世界を中心に、ファション業界・自動車業界の各社が新しい動きをみせている。

ユニクロはサンドボックスゲーム『マインクラフト』でゲーム内のコラボ衣装を無料配信し、あわせてコラボUTを店舗で購入できるようにしている。ナイキはロブロックス内にナイキランドを開設。また、今月にはバーチャルスニーカーブランドのRTFKT(アーティファクト)を買収し、仮想空間でのビジネスの準備を着々と進めている。

また、フェラーリは新型発表に合わせてフォートナイト上でモデルカーのテストドライブができる企画を行った。日本においては日産自動車が電気自動車(EV)と環境問題に関連した企画をメタバース上で行う予定である。さらに、現代は来年1月に行われる世界最大の製品展示会CESにてメタバース上で完成車や部品を確認できるような準備をしている。

現実であること、感じられること

様々な企業が趣向を凝らしながら、話題のメタバースを自社ビジネスに関連付けようとしている。しかし、消費者はあまりついてきていないように思える。それはなぜだろうか。メタバースが現実未満の世界でしかないからだろう。たとえば、自動車会社のメタバースの企画をみても、実際に車に乗ったときのエンジン音やハンドルを握った興奮はきっとそこにはない。また、お時間がある方はぜひ前出のフェラーリ日産のページで動画や画像を確認してみていただきたい。現在メタバースがどのように商用利用されており、そのレベルがどの程度なのか、気づくところがあるだろう。

では、これらメタバースをめぐる各社の動きのポイントはなにか。現実世界とどう結びつけていくかと考える。映画マトリックスのように仮想現実が現実そのものという類ではなく、文字通り地に足をつけられる現実世界が重要だ。

したがって、当分はメタバースと現実世界は切り分けながらに相互にコンテンツを提供しながら展開をしていくことになろう。そして、まさにインターネットがコンピューターによって普及していったように、またその先にスマートフォンによって更に発展したように、メタバースも何らかのデバイスが必要になるのかもしれない。

Z世代とメタバース

実はメタバース発展のヒントはZ世代にあるかもしれない。なぜなら、現実世界と仮想現実の世界を行き来することを生活に取り込んでいるからだ。もちろんマインクラフトやフォートナイトなどのゲームを楽しんでいる世代の中心でもあるが、スマートフォンで仮想現実を楽しんでいるようにも思える。

スナップチャットではかねてよりARを活用したカメラフィルターを発表していた。Z世代はこのカメラフィルターを用いて、自分自身や自分のペットを撮影しながら遊んでいるようだ。同社はこの程メタバース風のカメラフィルターを発表しており、これまでの流れであればTiktokで更に拡大していくだろう。蛇足だが、画質が高いことが当たり前になっている世代からすると、皮肉なことだが、メタバースの技術まだそう高くないことで、そのレトロ感を楽しんでいるのではとも思われる。

Snapchat (Techcrunch)

Snapchat (Techcrunch)

メタバースが実際にどのように展開されているのか、具体的な例をもとに今週はお送りしました。まだまだ生活に入り込むことは少ないかもしれませんが、インターネットがそうであったように、数十年後はどうなっているかわかりません。引き続きウォッチしていこうと思います。

さて、来週金曜日は大晦日ということもあり、配信はお休みいたします。次回は1月7日(金)となります。それまでの猫組長・中澤氏のニュースレター配信は通常通り行いますので、ご安心ください。

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編集後記

12月21日、死刑囚3人の刑が執行されました。この報道を受け、アムネスティ・インターナショナルは待ってましたと言わんばかりに抗議声明を出しました。アムネスティ・インターナショナルは「全ての人に生きる権利があり、人の命は決して奪ってはならない」という論拠で死刑反対を主張しています。そして、加害者・死刑囚にも人権があると事あるごとに主張しています。

全ての人に生きる権利がある=そのとおりです。しかし、死刑判決を言い渡される被告人はその「生きる権利」を残酷に踏み躙り殺害しているのです。それも複数人の命を奪っています。そしてその犯行理由は金銭目当てだったり、怨恨だったり、欲望を満たすためであったり極めて恣意的なものです。

加害者・死刑囚にも人権がある=そのとおりです。人権を尊重しているからこそ徹底した審理を経て誰もが納得する手続きで死刑判決を受けているのです。そもそも、刑事手続きとは人権を制限することが前提です。人の人権を尊重する者にのみその人権は尊重されるべきものなのです。生きる権利も、他人の生きる権利を侵害しないことを条件に保証されれば十分です。

死刑が執行される度、反射的に死刑制度反対を声高に主張する人たちがいますが、果たしてこの人たちは死刑判決決個々の検証はしているのでしょうか?死刑判決の判決文に目を通したりしているでしょうか?おそらく、ただ感情的に反対しているだけだと思います。死刑判決の判決文を読めば、犯行の様子や犯行の残虐さを知ることができます。判決文に目を通せば、ほとんどの死刑判決事件が死刑もやむ終えないと納得できるでしょう。

私が判決文を読んで、衝撃的だった事件は19歳の少年が犯したものです。自転車で帰宅途中の15歳の女子高生に強姦目的で故意に車を衝突させ、目的を果たします。その時、女子高生の手のひらをナイフで刺したり、顔を切り付けるなどした上に現金まで奪いました。その20日後、女子高生の生徒手帳から住所を割り出し自宅へ押し入ります。そしてまず、自宅にいた83歳の祖母の首に電気コードを巻き付け絞殺します。そこへ、女子高生と母親が帰宅すると、女子高生の見ている前で母親を刺殺しました。そして、家族の死体が横たわる場所で再び女子高生を強姦し、その途中に帰宅した父親も刺殺、さらに女子高生の4歳になったばかりの妹も刺殺したのです。

犯人の関光彦は、この事件以前にも暴力的な強姦事件を何度も起こしています。そして、一家4人を殺害して逮捕されてからも反省した素振りは見えませんでした。それどころか、少年である自分は決して死刑にならないと嘯いていたのです。関光彦は1992年の犯行から25年経った2017年にようやく死刑が執行されました。彼が44歳の時です。幸か不幸か、被害者の女子高生は生き残りました。凄惨な事件から25年間、彼女はどんな気持ちで生きてきたのでしょう。彼女に対して、関光彦の人権や死刑反対を唱えることができるでしょうか?

アムネスティをはじめとする死刑制度に反対する団体・個人は「死刑に犯罪抑止力はない」「冤罪で死刑が執行されれば取り返しがつかない」とも主張します。犯罪に対して抑止力があるかないかなど関係ありません。「人を殺したら死刑になるかも知れない」ということが重要なのです。

「冤罪で死刑が執行されれば取り返しがつかない」という意見に対してですが、科学的捜査が進化した現在ではまず起こり得ないことです。仮に冤罪で逮捕されたとしても、裁判で有罪になるようなことは考えられません。それ以前に、検察官によって不起訴となり公判さえ開かれないでしょう。実際、近年になって確定死刑囚が再審により無罪判決を受けるケースが現れています。

死刑制度を廃止にしなくても、死刑になるような凶悪犯がいなくなれば実質的に死刑は無くなります。人を何人も殺せば死刑になるかも知れないことは、死刑制度がある限り誰にでも想像できます。それでも凶悪な犯罪を実行する者は死刑で当然なのです。死刑になりたくなければ、死刑になるようなことをしなければいいのです。死刑制度についての議論など不毛でしかありません。理論的な死刑の是非など必要ないのです。「人を殺せば死刑になるかも知れない」それだけで十分です。

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猫組長TIMES 次号は12月26日です。

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