解説|新NISAで年間5兆円が動く?中国マネーは日本市場が逃避先に

株式市場には新NISAの動きもあり新たな資金が流入しています。日本株においては、中国マネーの逃避先にもなり、今後の展開が気になります。2024年、株式市場の初速はどのような状況にあるのでしょうか。
NEKO TIMES 2024.01.13
誰でも

NEKO TIMESは、短期目線に振り回される投資家を救済することを目的に、マクロかつ中長期の視点からビジネス・経済や為替・株式市場の話題を取り上げます。投資家に限らずビジネスパーソンの方も数多くご登録いただき、20,000人を超える読者の皆様が購読するニュースレターメディアとして、成長を続けています。

サポートメンバー(有料会員)向け配信では、個別銘柄の値動きの解説も行い「売買の意思決定に直接関わる情報」を読者限定で配信しています。日曜日に配信する【猫組長|今週の相場見通し】では為替動向にも触れます。水曜日に配信する中沢氏が分析する日米株式情報も見逃せません。一部配信を有料読者に限定し、個別銘柄を解説しています。そして、有料版読者の皆様には特典として猫組長と直接交流できるオンラインライブイベントへご招待しています。

***

こんにちは、NEKO ADVISORIES 岩倉です。毎週金曜日のNEKO TIMESは話題のニュースを取り上げ、経済・ビジネスのトレンドについて解説します。

大発会では日経平均が一時700円の下落となり先行きの不安もありましたが、1/9に早々に昨年来高値(33,753円)を更新しました。11日には35,000円台へ到達し、現在は35,500円前後となり堅調に株価は推移しています。本日12日の東京株式市場、日経平均株価は一時、700円以上の値上がりを記録しました。バブル期の1990年2月以来、33年11か月ぶりの高値をつけています。

2024年より新NISA制度がはじまり「貯蓄から投資」の動きが活発化しています。20代・30代も昨今の経済情勢や社会問題をふまえて中長期的な資産形成を意識しはじめています。「オルカン」の略称で知られる三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXISS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」はおよそ1,000億円が1日で流入しています。同ファンドの12月の月間資金流入額が1,088億円だったことから、新NISAのインパクトを伺えます。

昨年末、新NISA開始を前に証券口座を新規開設した方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ投資をしてみようと思っても、どのファンド・どの銘柄を購入したらよいのかわからないといった方も多いことでしょう。NEKO ADVISORIES 専属アナリスト・中沢氏がサポートメンバー(有料会員)向けに具体的なファンド・個別銘柄をあげて解説しました。ぜひご覧ください。

<本日のトピック>
・新NISAで動く個人投資家マネーと日本株
・中国マネー、日本市場が逃避先に
・東証PBR改善の取り組みが功を奏するか

新NISAで動く個人投資家マネーと日本株

岸田首相は「新しい資本主義」の実現を掲げ、"資産所得倍増プラン"を提示しています。5NISA口座を現在の1,700万件から3,400万件に倍増、投資額においては28兆円から56兆円へと5年間で倍増させることを目指します。日本政府は毎年5.5兆円以上の個人資金をまさに"貯蓄から投資"の掛け声のもと動かしていく計算になります。

新NISAにはつみたて枠(投資信託)・成長株枠(個別銘柄)に分類されます。SBI証券の試算では、投資信託経由ではNISA資金のおよそ2割、個別銘柄ではおよそ5割が日本株に流入するとしており、年間で考えると2-3兆円に相当するといいます。

2023年の日本株売買額をみると、海外投資家は日本株を買い続け、個人投資家は売り続けていることがわかります。今後も割安な日本株を海外投資家が買い続ける中で、個人投資家の資金が日本株式に流入していくと考えると日本株の未来は明るいように思われます。

三井住友アセットマネジメントは日経平均について【7万円】まで上昇するシナリオを公開しています。また試算運用会社日ピクテは日本株の上昇の条件をまとめています。

中国マネー、日本市場が逃避先に

日本株式市場への資金流入は国内資金だけではないようです。中国投資家は低調な自国株に諦めムードが漂い、新たなる投資先を探しています。ここでも米国株に比べて割安な日本株に目が向いているのです。チャイナAMC野村日経225ETFをみると、10日の売買代金で過去1年間平均の10倍にあたる3億7300万元(約75億4000万円)まで取引額が急増しました。

引き続き円安トレンドが続いていますが、これは輸出企業・海外でビジネスをしている企業にとって有利となります。たとえば、日経平均上昇に寄与するユニクロは昨日第1四半期(9-11月)の決算を発表し、売上は8,000億を超え(対前年13.2%増)、営業利益は1,500億円近く(同25.3%増)になるといいます。海外事業は対前年で20%以上の伸びを見せてビジネスに貢献します。

また、半導体関連企業も日本株市場を牽引します。本日12日の日経平均は半導体などのハイテク銘柄も買われています。半導体企業は輸出企業でありますし、国内工場新設など投資も大きく進み成長が期待されています。

東証PBR改善の取り組みが功を奏するか

中国経済や米国の株価の状況あるいは新NISAによる資金の動きは日本株にとってプラスに働くことでしょう。しかしながら、日本株が割安であり、これから成長していくことを示していかないと資金のながれは続きません。

PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきましたが、長い間PBRが1倍を下回ったままの銘柄もあり、必ずしも底値の判断基準とすることはできません。

PBR1倍以下は株価が割安かどうかのひとつの目安となっています。日米の各セクターを比較すると、日本企業が割安と思われる理由が見て取れます。

このようなイメージを払拭するべく、そして株価が期待に応えられるべく、東京証券取引所は全てのプライム市場・スタンダード市場上場会社に対しての「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しています。(参考:低PBR改善要請への取り組み状況/三菱UFJリサーチ&コンサルティング

成長余地のある身近な日本株に投資をしていきたいと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?猫組長・中沢氏が経済や株式市場について解説するコミュニティ【NEKO ADVISORIES】は引き続き追加会員を募集しております。会員が一定数を超えましたら、再び新規入会を制限させて頂きます。ご興味のある方はぜひこの機会にご入会ください。

***

※猫組長は総統選取材で台湾入りしているため、編集後記はお休みです。

現地からの生配信はこちらのニコ生でどうぞ。

***

次回は1月14日(日)です。専属アナリスト中沢氏による「今週の相場見通し」をお送りします。サポートメンバー(有料購読者)の皆様にのみ配信となりますので事前にご登録をお願いいたします。ぜひ先週配信記事で今週の相場の振り返りを行ってみてください。

無料で「NEKO TIMES」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

サポートメンバー限定
4月27日開催ZOOMミーティングアーカイブス
サポートメンバー限定
相場見通し|リバウンドはどこまで続くのか
読者限定
解説|コメ価格高騰の警鐘 ―揺らぐ日本の食料安全保障
サポートメンバー限定
テスラ|予想を超える業績悪化でもなぜ上昇?
サポートメンバー限定
相場見通し|関税問題における最大ボトムは打ったか
読者限定
解説|保護貿易政策の代償:変わる投資の地図と新たな資金の流れ
サポートメンバー限定
相場見通し|リバウンドに騙されてはいけない
読者限定
解説|貿易戦争激化と米債務残高の膨張