解説|TikTok合意で動く米中交渉 - 11月関税期限への影響

TikTok合意は米中交渉の新たな転換点。関税をカードに巧みにすすめるトランプ大統領に対し、11月の関税延長期限を控えて中国はレアアース供給という切り札を握り続けています。
猫組長 2025.09.27
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NEKO ADVISORIES 岩倉です。トランプ政権で新たな発表が相次ぎました。

米連邦最高裁判所は今年秋から、国際緊急経済権限法に基づく関税措置の合法性について審理入りすることが決まっており、大統領権限の範囲を問う重要な判断が下される見通しです。一方で、最近の世論調査では複雑な民意が浮かび上がっています。エコノミスト誌とユーガブが9月に実施した調査によれば、43%が関税を「下げるべき」と回答し、「上げるべき」の12%を大幅に上回りました。また、71%が関税により物価上昇すると予想しており、共和党支持者でも55%が同様の懸念を示しています。(ジェトロ

そうした中、25日にトランプ大統領は10月1日から大型トラックに25%、ブランド医薬品に100%という大幅な関税を課すと表明しました。キッチンキャビネットには50%、布張り家具には30%と、生活に身近な品目にも高税率が適用されます。特に医薬品の100%関税は衝撃的で、米国内に製造工場を建設済みの企業のみ適用除外となる条件付きです。(ロイター

興味深いのは、関税による「圧力」の一方で、同じタイミングで中国系動画アプリTikTokについては「合意」という対照的な動きが進んだことです。19日にはトランプ大統領が習近平主席と電話会談を行い、TikTokの今後に関する合意を承認したと発表。そして25日には、オラクルとシルバーレイクを含む米投資家グループが約50%を出資する具体的な枠組みが明らかになりました。バイトダンスの既存株主も約30%を出資し、事実上の「米国化」が進むことになります。

本日のニュースレターでは、トランプ政権の経済安全保障戦略の新たな側面に光をあてていきます。

<本日のトピック>
・関税交渉材料に、TikTok危機は合意
・トランプ政権下でオラクル躍進
・11月関税延長期限迫る

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  • 関税交渉材料に、TikTok危機は合意
  • トランプ政権下でオラクル躍進
  • 11月関税延長期限迫る

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