GAFA 巨人をはばむ壁 【データ編】

2000年代の米国経済・世界経済は米国IT企業の巨人、GAFAとともにあったといえる。インターネット上のプラットフォームビジネスはUberやメルカリなどにも影響を与えていると言える。一方でデータの一極集中や買収による巨大化により身動が取りにくくなっていることもまた事実である。GAFAをテーマに3週に渡り連載する。
NEKO TIMES 2021.10.29
誰でも

みなさんこんにちは、猫組長です。

今日も爽やかな秋晴れの一日でした。東京都では新型コロナに対する警戒レベルが最も低いものへ引き下げられました。週末の都内は人で賑わい、マスク姿以外はコロナ禍の前と変わりなく見えます。そしてこの日曜日には衆院選投開票です。みなさんも投票へ行きましょう。

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こんにちは、NEKO PARTNERS岩倉です。毎週金曜のニュースレターではビジネスや経済のトレンドについて解説していきます。今週から3週間に渡って米国IT企業の巨人、GAFAをテーマに連載していきます。第1週は「成長編」と第してGAFAのこれまでの成長の軌跡と現在直面している課題を解説しました。第2週はプラットフォームビジネスにかかせない「データ」をテーマにします。

<本日のトピック>
・データを「支払う」
・データの適正利用
・株価への影響

記事の最後には猫組長による編集後記があります。今回も最後までお読みください!

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データを「支払う」

プラットフォームビジネスの成長の源泉は「データ」といっても過言ではないだろう。私達はGoogle、Amazon、Facebook(Instagram)を利用する際には会員登録を行いIDを発行する。これによりユーザーの興味関心や行動はIDに紐づく形で可視化される。そして保有しているその他のデータと結びついていく。

Amazonで本を購入するならば、関連する本がおすすめされる。「いいね」をおした写真や動画にあわせて、他の関連する投稿が表示される。あらゆる情報が紐付いていく。

メールやショッピングなどオンライン上の様々なサービスを無料で利用していると思っているが、実はその裏側ではデータを「支払」っている。

データの適正利用

ユーザーから集められたデータは「ビッグデータ」としてプラットフォームビジネスの拡大に活用される。これらの多くは個人情報でありその利用には制限がかけられている。近年は、欧州の一般データ保護規則(GDPR)など、個人関連データやプライバシーの適切な利用と規制や保護などのルールを定める動きが世界的に広がる。日本ではこの動きに合わせた改正個人情報保護法が2022年4月1日に施行される。

ウェブサイトに訪問した際に「Cookieを許可する」というボタンが表示されることにお気づきだろうか。これはまさにウェブサイト上の行動履歴すなはち個人データを企業に渡すことの許可である。皆さんに最適な情報を提供するために必要と理由はあるものの、企業はしっかりビジネスに活用している。知らない間に自分のデータが利用されているということにもなりかねないだろう。GDPRや改正個人情報保護法に基づきながら企業はデータの適正な利用を行い、消費者との信頼関係に構築つとめなければならない。

株価への影響

たとえばAppleではiOS14.5から、「アプリのトラッキングの透明性(ATT)」が導入され、アプリ開発者は、パーソナライズされた広告のためトラッキングを許可するかどうか、ユーザーの承認を得ることが義務化されました。企業としてユーザーの情報を守る動きも進んでいる。そして、このような新しい施策はIT企業の業績にも影響を与えている。

チャットサービスを運営するSnapは10月21日の業績報告において、ATTの導入が自社の広告ビジネスに打撃を与えたことを発表した。そしてSnap(NYSE:SNAP)の株価はその日25%急落している。

私達が何気なく行っているスマートフォンのアップデートも、様々な企業の業績に影響している。どんな変更が何に影響するのか考えてみても面白いだろう。さて、来週はGAFAをテーマにした最終回として「デジタル税編」をお送りしたいと思う。

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引越しが終わって2日が経ちましたが、部屋にはまだ段ボール箱が積み上げられたままです。とりあえず、すぐに必要なものを探し出し使ってから収納するという繰り返しです。今日は朝方片付けを少しやってから、お昼にZOOM会議、その後は銀行と郵便局へ行き、久しぶりの歯医者さんでした。

朝食にバナナとヨーグルト、プロテインだけだったのでお腹が減りました。歯医者さんも終わったのでこの時間(16時)にようやくお昼ご飯です。この編集後記を書きながら、六本木のShake Shackでハンバーガーを食べました。

ハンバーガーを食べながら原稿を書いていると後ろの席で怪しい3人組の男性が険しい話をしています。音楽が流れているので所々しか聴こえませんが、どうやら今日が期日の借金返済について話し合われているようです。週末金曜日のこの時間、ハンバーガー屋で話合われる借金返済が良い結果であるはずありません。

お手洗いに立つフリをして3人組の様子を観察してみました。スーツ姿でオールバックの40歳くらいの男が債務者で、45〜50歳くらいの痩せて目つきの悪い男が債権者です。もう一人のツーブロックで小太りの男は30代半ば、おそらく債権者の運転手かなにかでしょう。この運転手、グレーのスウェットパンツがパッツンパッツンで、しかも十字架が背中にプリントされたデニムジャケットを着ています。お前はクリスチャンちゃうやろ!と心の中で突っ込みましたね。

話に聞き耳を立てていると、大まかなストーリーが分かってきました。オールバックの債務者は目つきの悪い男から、海外への投資という名目で1億ちょっと借りているようです。そろそろ金を貸してから2年が過ぎるのに、オールバックは返済しておらず、今日が前回約束した返済日なんですね。

借金返済引き伸ばしのコツは、話を長くして何度も何度も同じことを繰り返し、相手が疲れるのを待つことです。ただ、返済してもらえるという希望は持たさなくてはなりません。そこで重要なのが、返済が遅れているもっともらしい理由を自信満々で語るテクニックです。

オールバックの返済が遅れている言い訳はコロナでした。「新型コロナの影響で海外の銀行取引が滞っておりスケジュールに遅れが出ている、今は弁護士が最終確認をしているところなので、間違いなく近々送金が実行される」など滔々と語っています。おいおいちょっと待て、とついつい間に入りたくなりました。

コロナの感染が確認されてから今日まで、金融取引のシステムが止まったり滞ったことなど一切ありません。日本の金融機関でも、みずほ銀行のシステム障害で一部の取引が出来なくなったくらいで、それもコロナとはなんの関係もありません。オールバックの言い訳は、全ての銀行取引が午後3時までだった昭和の時代、金曜日の3時過ぎに「振り込みが間に合わなかった」と電話してくる詐欺師と同じレベルです。

堂々と自信満々に語るオールバックの話に疲れたのか納得したのか、とうとう目つきの悪い男が日和ってきました。おそらくもうダメです。この1億ほどの金が返済されることは絶対にないでしょう。

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猫組長TIMES 次回は10/31です。

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